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第一部隊隊長の兄が神機使いになったという噂の広まったのか、適合試験の翌朝、人通りの多いエントランスをツカサが歩くと周囲の神機使いやフェンリルの職員達は彼をジロジロと見ていた。
そして彼らは口を揃えてこう言う。
「妹と全く似ていない」と。
過去にツカサがリムの居場所をオペレーターに聞いた時、彼女の兄である事を隠した理由がそれだった。
ツカサとリム――髪の毛の色が緑色である兄のツカサに対して妹のリムは紫色。
目の色もツカサは真っ黒なのに対してリムは赤茶色。
兄と妹の容姿には同じパーツは何一つ存在しない。
何故ならツカサとリムは血が一滴も繋がっていないからだ。
ツカサは元々別の家に生まれた子で、彼が僅か7歳の時に両親がアラガミ被害に遭って亡き者になってしまった。
それで亡くなった両親と仲がとても良かった夫婦がツカサを引き受けた。
その夫婦には1人の子がいた。
それがリムだった。
リムの居場所をいち早く聞き出したかったツカサは、彼女の兄だと言えば疑われて無駄に時間を使うハメになるだろうと思い、彼は敢えて友人と嘘を言ったのだ。
最初は慣れなかった周りの視線も3日後には慣れて、その間もツカサはリムやその部下達のサポートを受けながらも演習に取り組んでいった。
リムからは自分の為にわざわざ素材を集めて造った神機を貰った。
そして彼女の部下からは戦闘に必要なアドバイスやそれとは全く無関係のアドバイスなど必要でない事を含めていろいろ教えてもらった。
その事によって、リムは沢山の友達を造ったんだなとツカサは心からそう安心した。
神機使いになる前の彼女はとある事情で友達といえる人間が1人も存在しなかった。
だから友達という新しく大切な存在を知った彼女なら、背に荷を抱えてでも彼らを守りたいと思うのも無理は無い。
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