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数時間後、ツカサはエントランス2階のベンチに座り、アラガミの種類や生態について詳しく書かれた本を読んでいた。
「お、ツカサただいま」
任務に行ってたのか少し服を汚したコウタがそう言いながらツカサの向かいのベンチに座る。
ウキウキしている表情を見て、任務であった出来事を言いたいということがなんとなく伝わったのか、ツカサは本を閉じテーブルに置いた。
「今日さ、俺とリムとアリサとサクヤさんの4人で――」
「ああ、腕輪探しだろ?」
「なんだ、知ってたんだ」
「それで…腕輪は見つかったのか?」
リンドウという人間とは全く面識が無い事から、腕輪が見つかろうが見つからなかろうがツカサにとってはどうでも良い。
だが妹の上官だったという事から、少しは興味は持っておこうと質問する。
コウタは、質問の答えを口に出す代わりに少し悲しそうな笑みを浮かべた。
それを見て一瞬で結果を察したツカサは苦笑を浮かべた。
「見つからなかった…だね」
「うん…リンドウさんを喰ったアラガミが違っててさ…。でもその代わりに本物っぽいの見つけたんだ!!リンドウさんの腕輪を持ってそうなの!!ちょっと強そうだったんだけど…リムやソーマとかがいればすぐに回収出来るよね!?」
「まあ…そうだな」
コウタの言葉に、これほどリムは尊敬されているのだと感じ取り、ツカサは彼女の兄として少し気分が良くなった。
「ところでリムは?任務の結果報告か?」
「いや、報告はサクヤさんが済ましてるよ。リムに会うの?」
「アイツ仕事が忙しいからせめてこのゆっくり出来る時間にジュースでも買い与えてやりたいからな」
「そうなんだ…。リムならまっすぐ自室に行ったと思うよ」
「……え?」
ここにツカサが来てから30分はとっくに経っている。
外から帰って来て自室に行くならエントランスは必ず通るしリムと任務に同行したコウタが今来たのだ。
彼の言い様では10分以上前にアナグラに帰って来た様に感じるが、ツカサが来てから一度もリムの姿を見ていない。
ツカサが本に集中しすぎて近くを歩いたリムの存在に気づかなかったのか。
けれどリムならツカサの姿を見つけると必ず話掛けてくる。
一体、リムはいつここを通ったんだろうか。
そうツカサは考えていると、コウタは気まずそうな表情を浮かべて口を開いた。
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