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「……でも今のリムには会わない方が良いよ」
「?…なんで?」
「なんか任務終わってから様子がおかしいんだよね…。苛立っているというか…怯えているというか……俺には分かんないけど『どうしたの』って話掛けたら睨まれちゃってさ…」
記憶を辿りながら呟く言葉にツカサは自分を睨むリムの表情を頭の中で思い浮かべた。
今までリムに睨まれた事は何度かあるが、まさか友人にまで睨みつけるとは一体その時の彼女はどんな心境だったのか。
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「クォォオォオオン!!!!」
「うおっと……このっ!!」
ツカサは自分よりも数倍大きい白い獣の体当たりをジャンプで避けると空中で身を反らせて白い獣の長い尾に火炎放射を浴びせた。
尾を焦がされた白い獣は悲痛の叫びを上げる。
その様子を見て癖っ毛が目立つ金髪の男はニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「弱点は火か…バレットを替えて追撃だ。新人に良いトコばかり取らせてやるものか」
「せっかく新人が囮になって廃家に連れて来たんだ!!ブレンダンがこっちに来る前にとっとと倒しちまおうぜカレル!!」
「そうだな。今頃どっかで索敵している規律が第一のアイツがここに来れば絶対に止められる。新人が頑張っているんだ、先輩である俺達も頑張りを見せてやろうじゃねーか。もちろん金の為だがな」
そう言うとカレルと呼ばれた男は自分の神機であるアサルトの銃口から火炎弾を発砲し、威嚇をする白い獣の顔面に命中させる。
顔面を燃やされ白い獣は再び悲痛の叫びを上げる。
それを見てカレルの隣にいるシュンは軽く口笛を鳴らし、白い獣の様子を伺うツカサに声を放った。
「おい新人!!俺が前に出る!!お前は俺かカレルに回復弾でも撃ってろ!!」
「えっ…あ、はい!!」
先輩であるシュンの命令に従おうと2、3歩白い獣から距離を置きバレットを切り替え彼が言っていた回復弾を探すツカサ。
だが、回復弾が見当たらない。
そもそも回復弾という存在すら知らない。
必死に数あるバレットの中からそれらしいのを探る。
「お、なんかそれっぽいのが……」
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