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「たかがシユウごときに怪我を負うお前をメンバーに入れるぐらいなら人手は必要でもプリティヴィ・マータを倒せるツカサを入れた方が任務の成功率は高い」
「!!……兄ちゃん戦ったの!?」
リムは信じられないといった表情でツカサに問い詰める。
だがそれに対してツカサはなんて答えれば良いか分からず、たじろいだ。
「ツカサ、不安に思う気持ちは分かるがお前は演習や任務で高い功績を残している。それにアラガミや戦術論について必死に勉強していた事も知っている。だからこそ、この重大な任務を隊長と入れ替わり参加出来るんだ」
「………」
一部の人間から"鬼教官"と称されるツバキに誉められ「隊長と入れ替わり参加出来る」と言われても、ツカサは素直に喜べない。
何故、リムがこの任務に参加出来ないのががツカサには理解出来ないのだ。
リムはベテランでも難しい危険な任務を1人で受け次々と達成していて、尚且つ隊長と呼ばれる程の腕の持ち主だ。
そんな彼女が怪我して途中で任務を抜けたのは偶然という可能性がある。
そんなツカサの心境を読み取ったツバキは、目の前に立つ部下達に向けて結果は既に知っているかの物言いで言い放った。
「今回の任務のメンバーにリムを外す事に異論がある者はいるか?いるならここに残れ。その逆の者は任務の支度につけ。残った者が1人でもいればツカサとリムを入れ替えよう」
「………」
その言葉に最初に動いたのは、フードを被った男だった。
男は何も言わず、階段を降りる。
その次に、申し訳ないといった表情でアリサが階段を降りる。
結果は10秒も経たない内に決まった。
その結果にリムは目を見開いて硬直した。
部下に見捨てられた――と、絶望しきった表情を浮かべて次にツカサを睨んだ。
揺るぎない憤怒と嫉妬でギラリと鈍く光る瞳に射抜かれ言葉が詰まったツカサは後ろにいたサクヤに左手首を掴まれ、引っ張られた。
サクヤに引っ張られながらも自分を睨みつけるリムを見たが、その目はあまりにも恐ろしくとても弱々しいとツカサは感じた。
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