後悔という名の赤い現実

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「まだか…まだなのかよ…!!」 目的の地へと動くエレベーターの中、1人の青年がブラストだけの旧型神機を片手に固く閉じた自動ドアを睨み付ける。 森の中の草木を連想させる深緑の短い髪に闇を感じさせる真っ黒な瞳。 健康的に焼けた褐色肌に黒と灰色を基調としたジャケットとズボンを身に纏っている。 「早く…早く着けよっ…!!」 焦りと怒りの声を上げ、青年は頭から焼き付いて離れ様としない光景を追い払い続ける。 真っ白な病室。 床とベッドに散らばる大量のガラスの破片。 そしてそのベッドに座り、泣きながら注射器を自分の左腕に刺して名の知らない液体を体内に注入する少女の姿を―― ―――ガタンッ 「………!!」 止まったエレベーターに心臓が高鳴り、追い払っていた光景は一瞬で青年の脳内から消えた。 そして、彼は強く願った。 自動ドアが開いたその向こうは、自分が最も見たくない光景ではない事を―― 今まで通りに、愛する"アイツ"が立っている事を―― 明日になれば"アイツ"はいつもの様に笑っている事を―― 無力な青年は、ただただ願うしか無かった。 ―――プシューッ 自動ドアが完全に開く前に青年はドアの隙間に素早く体を滑り込ませた。 そしてバッ…と顔を上げ、前方を睨み付ける。 だが、目の前に広がる光景を見た青年の頭の中は、一瞬で真っ白になった。 ―――現実が青年に見せた光景。 それは、赤い赤い後悔の色だった。
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