後悔という名の赤い現実

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"楽園とはかけ離れた"工場を思わせる広大な広間。 "抜き取られた"かの様に大きな穴が空いた天井。 その傍らには――人の形だがとても人間とは言い難い全身濃い桃色の肌のバケモノと、蜘蛛と形容した桃色のバケモノ。 そして、その2体を息耐えさせたのであろう数人の男女が立っている。 一見してここでは何が遭ったのか想像すら出来ない混乱だけが生み出される光景だが――そんな場所やバケモノ、人間達などは青年の視界に存在しなかった。 彼の視界に存在するのはたった1つ。 真っ赤な血に濡れて冷たい床に倒れ伏す少女。 少女は2体のバケモノと同じ様に横たわったまま、死んでいるかの様に全く動く気配を見せない。 それを見た青年は言葉を失ったのだ。 そして、そんな立ち尽くす青年の存在に気付いた人間達の中の1人である青年が、驚きの声を上げる。 「ツカサ!!」 「…………」 "ツカサ"と呼ばれた青年にはその声は耳に届かない。 今、彼の感じている世界には自分と血塗れた少女、それ以外は存在しない。 「リムぅぅぅうぅうう!!!!」 彼は叫んだ。 少女の名を―― 愛する愛する、妹の名を――ただ、叫んだ。 その叫びは広間中に響き渡り、虚しく虚空に消え去った――
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