208人が本棚に入れています
本棚に追加
それはある日、ツカサは妹のリムでテレビゲームをしていた時だった。
「リム、私の部屋に来なさい。話があるわ」
「んぉ?」
突然背後から、赤い着物を着た長い紫色の髪の女性で2人の母――凪田ソノカがリムに話し掛けた。
普段は仕事でなかなか2人に話す暇など無い彼女だったが、いつもの様に仕事の部下を使わずに珍しく直接自分から話し掛けてきたのだ。
聞き手に圧力の感じさせる話し方からすれば、とても真剣な話だと2人はすぐに分かった。
「んじゃ、兄ちゃん待っててね」
「ああ」
リムは母と同じ長い紫色の髪の毛を揺らしながら、ソノカと共に部屋から出て行った。
その時リムが神機使いとなるきっかけとなったのは、その会話だとツカサは知らなかった。
――――――
―――――
―――
「お嬢様、本っ当に良いんですね!?」
「ナズナ、それ50回ぐらい聞かれたんだけど」
フェンリル極東支部の入り口付近、リムは親の部下である桃色の着物を着た黒髪の女性に呆れ、溜め息を吐いた。
そんな彼女の右手には、大きなショルダーケースの取っ手部分が握られている。
「リム、本当に良いのか?」
「だから大丈夫だって!!兄ちゃんもナズナも心配性だなぁ…。しばらく会えないと思うけど暇な時に電話やメールするし大丈夫だよ♪」
ヘラッと明るい笑顔を見せるリム。
だが、彼女をここまで車で送りに来たナズナと呼ばれた女性や、ツカサの不安は全く拭えない。
何故ならば今日からリムが就く仕事は地球上の人間達を脅かすバケモノ――アラガミと戦う常に危険が伴う仕事だからだ。
最初のコメントを投稿しよう!