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先程のアイロという娘よりは若干堂々としているが、これは若干キャラ被りじゃないか?
お辞儀をし終わった茶色は人前で緊張しているのか、何かしようとオーバーリアクションであたふたとしている。
その姿は、自己紹介一つにしても必死に頑張ろうとしているのがこちらにも伝わってきていい具合に保護欲が刺激される。
他の男子生徒も同じことを感じたのかハスハスしている。
俺?
そんなのは当然
「零、あれは嘘じゃからな」
「嘘?」
そんな俺にリリがそれはもう心底くだらなそうに洩らす。
嘘とは何のことだろう?
「あれはあやつの本性ではないんじゃよ。心中では他の生徒を見下しておるじゃろうよ」
「どういうことだ?」
「腹黒なんじゃよ」
「あぁ、腹黒ね」
そんな馬鹿なッ!?
あんなめんこい娘が他人を見下すなんて。
そんなわけない!!
俺は少女の汚名を晴らすため心を読むことにした。
所謂読心術だ。
これは色々と人間関係を壊すので使いたくはないのだが、今回は非常事態だ。
え~と、茶色の心中は、
『ふん。やっぱり男なんて超ちょろいもんだな。ちょっとこっちが可愛娘ぶれば直ぐにこれだよ。あいつとかあたしのこと超見すぎだし、超きめぇ。ってかあのロリババア、なんでこんなとこにいんだよ。森にでも超引き込もってりゃあいいものを。お仲間なんか見つけちまって超うぜぇよ。一緒にいる男』
!!!?
こわっ、何あの娘こわっ。
えっ!?こわっ。
あんな笑顔を振り撒いてて何考えてんの!?
俺への評価が始まりそうだったからついやめてしまった。
「えー」
無意識に俺の現在の心境の全てをまとめた声が出る。
「どうしたのじゃ?」
「いや...何も」
読心術についてはこいつにも教えてないので知らんぷりをする。
これだから他人の心を読むのは駄目なんだよ。
興味本意の読心術は大抵後悔することになる。
そして今回も、知らなきゃよかった。
そこで茶色がふとこちらを向き目が合う。
そして茶色は慌てた様な素振りをして直ぐに目を逸らす。
「はぁー」
これも知る前だったらドキドキできたのかなぁ。
幸せ中枢が刺激されたのかなぁ。
違う意味でドキドキする、と言うかキリキリするよ。
胃が。
「まぁよい。あやつは根っからの土属性じゃったな。確か水属性も少し使えたがほとんど使わん。主にゴーレムのクリエイトとその遠隔操作じゃ」
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