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「ゴーレムねぇ」
そこで俺はあの茶色が大きなゴーレムの肩に乗り他の生徒を笑いながら踏み潰す光景を思い浮かべて苦笑する。
「それであやつの魔武器なんじゃが、これがまた特殊なんじゃよ」
「特殊ってなんだよ」
俺から言わせれば魔法なんて大体が特殊だ。
「あやつもあの黄緑と同じ補助系の魔武器なんじゃがな。形状は杖。効果は支配じゃ」
「支配って?」
「杖を刺した地面より今のあやつだと半径30mと言ったところじゃろう大地の掌握じゃ」
「意味わかんねぇぞ。もっと簡潔に言うと」
「その範囲内ではよっぽどの実力差でもない限り、土属性魔法でのあやつは無敵じゃ」
「無敵?」
「わしからしたらただの雑魚じゃがな」
そりゃあそうだろうよ。
「効果は土属性限定の詠唱の省略が主じゃ。特にゴーレムの複数同時クリエイトとそのコントロール若しくはオートメイトとオートリカバリー。元々あやつは魔力量だけはあったからの、Dランク2桁は余裕じゃろうな」
Dっつうと、ロイドがAでルミアがBだし...それは強いのか?
いや、あいつらを基準にしちゃいかんな。
まぁ、最低がEなんだしきっと強いんだろう。
けど、
「そんだけの能力があるってことは、何か条件があるんだろ?」
「よくわかったのぉ」
これくらいは流石にな。
そんなチートがなんもなしに使えたらセコいだろ。
俺であっても死と引き換えのこれな訳だし。
「確か3つ程あったじゃろうかの」
「っで、その3つは?」
「その3つ、それは...」
「それは?」
「なんと!!」
「まさか!!」
「...なんじゃったろうな?」
「忘れたのかよ!!」
散々ためておいてこれだよ。
やれやれだぜ。
それと今の俺のツッコミで何人かの生徒が不審げにこちらを振り返ってくる。
見せもんじゃねぇぞぉ。
「まぁいいじゃろう。零も言っておったじゃろに。知りすぎてもつまらんと」
「そりゃそうだ」
実際ケータイで検索をかければ出るものだし、これはあくまで暇潰しなのだ。
そうこうしてる間にあたふたしていた(フリ)茶色も席について、今度は紫が席を立つ。
「リゼじゃな」
その禍々しい色の後ろ姿を見ながらリリが言う。
どうやらあの紫の名前はリゼと言うらしい。
紫でいいや。
けど九鳳院の令嬢のことじゃないからね。
と言っても第一印象はお嬢様。
まさにどこかの令嬢。
一つひとつの動作が、優雅で優美にエレガント、といったよい家柄が滲み出している。
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