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このクラスにルミアがいなければこのクラスの高嶺の花だっただろう。
すらりと伸びた長く細い手足。
16歳とは思えない発育された身体。
周りの女子の顔には未だに幼さが残るなか、一人大人な女性を体現している。
と言っても制服だからたかが知れてるが。
クラス中の男子のそして女子までもの視線を惹き付けながら紫が教壇に立った。
その目は鋭く自分が決して安くはないぞと語っているようだ。
現に数人の生徒は目線を顔から下げている。
「リゼ・アナトリアですわ。得意な魔法は遠距離魔法。わたくしがこのクラスになったからには、このクラスを最優秀クラスにしてみせますわ。くれぐれも足を引っ張らないように!!」
ですわ...だと。
"凛"と言うよりは"バーン"が背景に似合いそうな第一声は俺の度肝を抜いた(語尾的な意味で)。
内容はよくわからないが、まぁ自分が好きなのだろう。
紫の顔は言い切ったぜ、ですわ(笑)、見たいなどや顔でまたしても生徒を見下している。
見下されている生徒達は身動ぎひとつくらいはしているが唖然だ。
「リリ」
「なんじゃ?」
「いや、なんじゃじゃなくて」
特に唖然とすることもないリリに説明を要求をしているんだが、アッシュたんと遊んでいて唖然以前にあの紫に意識すら向けていなかった。
「おお。あの馬鹿についてじゃな」
やっと向いたよ。
しかも
「いや馬鹿て」
「あやつは馬鹿じゃよ。いや、めんどくさいと言うた方が適切じゃろうか。能力は...うむ、そこそこあるんじゃが」
「あるんじゃが?」
あまり人を褒めないこいつがそこそこでも能力があると言うからにはそれなりに強いんだろうが。
何がこいつをここまで言わしめているのか。
「プライドが高いと言うのか、負けず嫌いと言うか、とにかく自分の拘りを主張したがるんじゃよ」
自己中って奴ですね。
わかります。
まぁ、俺とは無縁の言葉だ。
「へぇ。プライドなんて野良犬も食やぁしねぇのに、ご苦労なこった」
「お主が言うか」
あれ?
なんで俺が責められてんの?
「やれやれ。まぁよい。リゼについてじゃな」
あれ?
俺の顔を見てなんでそんな悟った顔して話を進めるの?
「あやつはあやつも言っておった通り遠距離魔法が得意じゃったな。近距離魔法も人並みにはできるんじゃが、遠距離魔法だけならAランク+(プラス)と言ったところじゃろうか」
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