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リリとそうこう言ってるうちに何やら演説していた紫も満足したようで席へと着いた。
ここで自己紹介はチームパステルを抜け俺の興味はなくなる。
紫の後ということもあるのか、次に出てきた茶髪の男子生徒は萎縮してしまっていて見ていて痛い。
そんなことはその辺に捨てといて、そろそろ俺も自己紹介をどう切り抜けるか考えようかな。
順番で言うと後10人だ。
「リリ、お前は自己紹介どうする?」
「ん?名前を言えばいいんじゃろ?」
俺の問いに何を言っているんだと言わんばかりに答えるリリ。
「いやいやいや、みんな名前以外にも色々言ってるだろ。ただでさえ黒髪で訓練所を出てないのに、さらにこのちびっこ加減だよ。下手なこと言っても言わなくて教室中が沸くぞ」
チームパステルはまだ大丈夫だろうが、他の生徒はめんどくさいだろうな。
「誰がちびっこじゃ!!」
「諦めろ」
俺は両手を上げて暴れようとするリリの頭を鷲掴みして抑え込みながら諭す。
ほらほら今現在進行形で自己紹介してる生徒よりも注目を浴びてるぞ。
俺は未だにこちらを見ている生徒に、ガンを飛ばして前を向かせる。
なんてことはしないで大人しく頭を下げる。
ここでの印象は今後かなり大きいものになるからな。
気を付けなければ。
「あんなの無視すればいいじゃろうに」
リリが頭から俺の手を両手で持ち上げながら言う。
「こんなのは下ごしらえだ。そう思えば今の我慢も楽しくなんの」
俺はそんなリリに更に手に力を入れながら笑いかける。
更に重くなった俺の手に負けじと顔を赤くしながら力むリリ、めっさかわいい。
これだけでも生きててよかったと思える。
死んでるけども。
「まぁ、俺はファミリアとしてこいつでも紹介すればいいか」
俺は教室内を巡回していたアッシュたんの首根っこを引っ掴むと机の上に置く。
「にゃー(何よー)」
アッシュたんは一鳴きはするものの、特に抵抗もしないで机の上にちょこんと座る。
かあいい。
「それは狡いのじゃ零」
「狡くない。…そうだ。俺がお前の自己紹介文、考えてやんよ」
そのとき俺の頭の上で電球が光った。
面白いこと考えたぜ。
って、ホントに出ちまった。
俺は無意識に創ってしまった電球を周りに見つからないように回収する。
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