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「やじゃ」
「何でだよ」
折角いいこと考えたのにリリは何が気に食わないのか首を横に振る。
「零がその顔をするときはいつもろくなことにならんのじゃ」
「なるよ、ろくなことになるよ。逆にろくなことにしかならないよ。寧ろろくでありBLUESだよ。あのこは陸があるって近所でも有名なんだよ」
「そ、そうか?」
「あぁそうだ。大丈夫。俺にすべて任せてくれればお前のキャラは完璧だ」
「わしを一体どんなキャラに仕立て上げるつもりじゃ?」
「大丈夫」
理屈はないのに全てを治める僕らのバイブル魔法の言葉。
白い悪魔から白い冥王へと2階級特進したあの方もそんなことを言っていたはずだ。
俺は未だに訝しげな顔を向けるリリに親指を立てる。
「やれやれじゃな」
承諾を貰えたみたいだ。
やったぜ!!
面白かっこいいぜ!!
「あっ、リリ」
「ミーネじゃな」
俺の隣の列の自己紹介が終わり、俺の列まで順番が回ってきたのだ。
そしてこの列の先頭は水色の髪をしたあの目玉商品だった。
目玉商品は可哀想なので水色としようか。
水色は静かに立ち上がると一定の足音を響かせながら壇上に上がりこちらを向く。
その顔は淡々としており見渡す視線はツンドラ気候だ。
「ミーネ・アクア。出身は...ラサマ訓練所。...得意な属性は...水」
水色は区切り区切り、小さいながらもまるで鈴の音のような澄んだよく通る声で必要最低限のことだけを言うと、徐に右手を顔の横に上げ人差し指を立てる。
「ん?」
「あやつは魔力量は少なかったが、その分魔力の使い方をわかっておったの」
「みたいだな」
俺はリリの説明に同意する。
クラス中の生徒は頭の上に?を浮かべてその人差し指をの先に目を向ける。
そんな視線に納得したかの様に水色が一度瞬きをすると、その人差し指の上に空気中の水が集まり始めた。
正確にはもっと早くから指先周りに濃密な魔力が集められており、それが瞬きと同時に水属性の魔法を発動させたのだ。
だが、そのことを正確にとらえられていたのは俺を含めてもこの教室内で6人と言ったところか。
そうこう考えている間にも水はどんどん集まっていき、数秒後にはバスケットボール大の水の球が出来上がっていた。
「...よろしく」
水色はそう言うと水球を空中へ投げた。
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