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「リリ、今のは何だ?」
俺は置いてけ堀な感じに若干の不快感を感じ、リリに尋ねてみる。
が、
「ん?何のことじゃ?」
幼女はKYの方だった。
KY、漢字読めないの略ではないよ?
「何でもない。それより次でラストだな」
俺はリリのことは諦めて次に進むことにした。
「そうじゃな」
そう言い向ける視線の先には、『俺に触れると、火傷するぜ』を具現化でもしたかの様な鋭い眼光に意味もなく険しい顔をした黄髪の男子生徒がいた。
もう明らかに電気タイプだ。
3つ目のバッチとか持ってそう。
さっきの表現も適切ではなかったかもしれない。
『俺に触れると、感電するぜ』の権化だ。
まったく。
ホント、茶色い短髪の中学生女子じゃないことが誠に残念でならないよ。
「ラサマ訓練所出身、ラジア・ライトニングだ。得意属性は雷。以上だ。よろしく頼む」
黄色は頭を下げることもなく全然よろしく頼んでない感じに正面を見たまま言い放つと、顔の少し前で稲妻を走らせた。
その瞬間、静かだった教室に女子の歓声が反響した。
一部の女子がキャーキャーと騒ぎ、今にも走り出しそうだ。
うるせぇな。
「うるせえ!!」
そんな女子に何をカリカリしているのか、レンが声を荒げた。
その声に騒いでいた女子は、ビクッと跳ね上がり一瞬のうちに鎮まる。
騒いでいた女子だけでなく殆どの生徒が身体を強ばらせ、中には涙目の女子もいる。
あいつ、何勝手に不機嫌になってんだよ。
生徒ドン引いてんじゃねぇか。
「機嫌悪いな」
「そうじゃの」
俺とリリは顔を近付けてぼそぼそと喋る。
黄色の次の女生徒もどうしていいのかわからずおろおろしちゃって、可哀想。
「まぁ、そんなことは置いといて黄色についてだ」
「ラジアじゃな。あやつは近距離、中距離型の槍使いじゃ」
「槍なのに近距離もできるのか?」
「そうじゃ。あやつは武器無しの戦闘もそこそこできたと思うのじゃ。槍を使いつつ雷の属性付加をした肉体強化で、拳技や蹴技を混ぜてくる、バランスは悪くない奴じゃたよ」
「へぇ」
隠密御庭番衆の若頭みたいだな。
「っで、強いの?」
「あの中ではユミルの次と言ったところかの。何かとロイドと競っておったが、わしから言わせればどっこいどっこいじゃな」
「そうなのか」
じゃあ、表向きはあの黄色がトップか。
それならさっきの歓声も納得が行く。
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