ボーイミーツキャンパスⅡ

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「やれやれ。最高だよ、お前は」 こいつがこれで満足なら、俺にはもう言うことはない。 時が止まったかのよう教室で俺は立ち上がりリリとハイタッチするとアッシュたんの脇の下に手を伸ばす。 「にゃっ(脱出)」 「ちょ、ちょい!?」 アッシュたんは俺の魔でも何でもない手からジャンプして逃れる。 「にゃにゃ。にゃー(零のネタには使われないわ。じゃねー)」 「ちょ、おま…まぁいいか」 このクラスの状況なら問題なく行けるか。 「及川零だ。よろしく」 俺はとりあえず気配を消して前へ出ると、ガヤに上手く被せながら自己紹介をさりげなく行い、そそくさと席に戻った。 完璧だ。 俺が目立つ目立たない以前に、俺の自己紹介を聞いていたのはパステル共だけだろう。 他の生徒は呆然としていたりショックを受けて頭を抱えていたり、 「いや、あれもありか?」と、上の空で妄想していたりだ。 って、ラストアウトじゃね!? 「おし。自己紹介は終わりだなー。それじゃあ明日の連絡だが、明日は9:00から裏山でしりょく検査を行う。突然ではあるが入学資料にも事前に書いてあったはずだ。各自準備等しっかりしておくように。以上だ、解散」 レンは言うべきことは言い切ったという顔をすると、こちらの反応を待たずして教室から出ていってしまった。 担任は…窓際に座って寝ていた。 あんにゃろ落とすぞ。 俺が真剣にそう思った瞬間、 「ん?あー、...zZZ」 起きたと思いきや一度周りを見渡しまた寝やがった。 周りの生徒はと言うと、 「しりょく検査…だと」 「入学2日目で?」 「あーもー何が何だか」 「まだ死にたくねーよー」 「これは神の悪戯か、はたまた悪魔の罠か」 「リリスちゃんぐへへ」 「いや、アイちゃんも」 「スピードノキアヌリーブスノゴトクスピードノキアヌリーブスノゴトクスピードノキアヌリーブスノゴトク」 「お陽さま、雛菊、溶ろけたバター...」 「筋肉筋肉~♪」 「帰らなきゃいけなかったのに、いつの間にか夏になった」 「夢だけど、夢じゃなかった」 何だかカオスだった。 「リリ、行こうぜ」 俺は立ち上がるとリリに声をかける。 「そうじゃな」 「あっ、零!!わたしもー」 そんな俺達に気が付いてルミアが立ち上がりこちらへかけて来る。 パステル共はこちらを見てはいるものの来はしないようだ。 「じゃあ行くか」 俺達は何かが這いよりつつある教室を後にした。
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