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「リーちゃん、あんなこと言っちゃ駄目でしょ?」
「零が言えと言うたんじゃ」
「言ってねー!?」
「零!!リーちゃんが嫌われちゃったらどうするの?まあリーちゃんはかわいいからそんなことないと思うけどさー」
「いやいやだからさ、俺が言ったのは前半のだけだから」
「わしはあの様なやつらに嫌われても何も感じん」
「そう言うことじゃなくてー、私がリーちゃんが嫌われるのが許せないの!!」
「そんなこと言われてものう」
「零、今度と言う今度は「だから俺じゃねぇって!!」」
そんなことを喋りながら俺達は寮への道を歩いていた。
周りには俺達と同様、寮を目指す生徒や中庭のベンチで仲良く談笑する生徒達の姿が見える。
以前からの知り合いなのかここに来て今日知り合ったのかは知らないが、リア充共め。
俺はどうだって?
両上腕二頭筋に王女と幼女だがそんなことは知らん。
「ここか」
「そうだね」
「その様じゃな」
俺達は本館から5分程歩いた所にある規則的に寮が建ち並んだ場所に着いた。
寮と言っても土属性主体で造られた、言うなれば鉄筋コンクリート製マンション。
はっきり言って手抜きだ。
鉄筋を使ってるかどうかもわかったもんじゃない。
。
本館とは1世紀程違う雰囲気を漂わせるそれは、ただ無機質に俺達を見下ろしている。
「っで、俺の部屋はどこだ?」
俺はてっきりあのお城みたいな本館に寮もあり、寮長か何かが「カプート ドラコニコス」とか何とか唱えて案内してくれるものだと思い込んでいたから、その辺りは正直お手上げだ。
「ん?私?知らないわよ?」
「えー」
ルミアは何故自分が知っていると思っていたのかが逆に不思議だとでも言いたげなきょとんとした顔で当然のように言う。
「リリはー、知らんよな」
「当然じゃ」
リリも常識でも語るかの如く答える。
迷子だお。
「あそこに行けばいいんじゃないの?」
ルミアが腕を組み悩む俺の肩を叩く。
「ん?」
ルミアが指差す方には
『1号館』と書いてあるプレートがある寮があり、そのプレートの下には
『F1 寮長室』
と書いてあるプレートがあった。
成る程ここにも寮長先生なる人はちゃんといるわけだ。
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