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「ここね」
ルミアはそう言うと一番突き当たりにある白いドア(鉄?)の前で立ち止まった。
そこはドーラ魔法学園生徒寮第1号館の9階。
ドアには191号室と書かれたプレートが嵌め込まれてある。
ここまで長かったぜ。
ミズキさんに自分の部屋を聞いた俺達はまずルミアの部屋があるここに来たわけだ。
そこは9階と言う高さもあり背後には絶景が...あると言うこともなく、そこには同じ白い建物がずらっと並んでいる。
「入るわよ」
初めての部屋にwktkしているのだろう、ルミアは一度こちらに振り替えると意味もなくそんなことを言った。
「あぁ」
俺がそう答えるとルミアは満足げにドアへ向き直りポケットから手のひらサイズのカードを取り出した。
それは入学前の書類と共に送られてきた学生証だ。
ルミアはその学生証をドアのプレートの下に嵌め込まれてある黒い板の部分に翳す。
すると昔ながらの丸形の取手の辺りでカチャリと鍵が外れる音が聞こえた。
この開け方もさっきミズキさんに聞いたのだ。
ルミアは徐に取手を握りドアを開ける。
「わぁ」
部屋へ入ったルミアが最初に洩らした声はあまりにも無邪気な子供のような声だった。
それに続いて俺達も中に入る。
そこで目に入ったのは真っ赤な絨毯だった。
赤が嫌いな生徒がいたら苦情が来るだろう真っ赤な絨毯が短めの廊下に敷き詰められていた。
短めと言っても廊下は真っ直ぐと突き当たりの木製のドアがあるところまで10m近くはある。
その途中、両サイドには同じ様なドアが1つずつ。
トイレや浴室だろうか。
「へぇ、わりと広いし綺麗だな」
「まぁまぁじゃな」
まぁまぁな部屋、らしい。
絨毯は良質な物のようでリリは満更でもなさそうな顔で足踏みをしている。
「奥がリビングみたいだから、奥で話そ」
ルミアは子供みたいな笑顔でドアをガチャガチャと開けて回り、奥のドアを開けると手招きをした。
「話って何話すんだよ?」
「話すことなんてたくさんあるよ。例えばリーちゃんのことについてとか。わたしが気付いてないとでも思った?さっきのロイドや皆の反応も気になるし。それにダリアンとも何かあったみたいだしそれから「わかったわかったわかりましたから」」
ストレージのことから説明するのもめんどくさいし適当に誤魔化すか。
そう思いながら俺は靴を脱いだ。
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