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「貴様はっ!?」
親の仇でも見つけたような顔で俺を警戒してくるそいつは…うん、ロイドだった。
ロイドの後ろでは
「ササッ」
「・・・」
黄緑が水色の後ろにしゃがみ隠れ、水色は無表情で視線を送ってくる。
「はぁ」
どうしたもんかなぁ。
立て続けにこんなにイベントがあっても。
俺は人付き合いが苦手なんだよ。
困ったな。
とりあえずはインキャラでもやるか。
†
「貴様はっ!?」
ロイドは焦っていた。
エルト、ミーネとの何気無い買い物の帰り、一番会いたくはないと思っていながらも詳しい話を聞きたいと、知りたいとも思っていたクラスメイト、及川零が目の前に、しかも一人で現れたことに。
厳格ではあったものの半年も及ぶストレージ封印の旅をともにし、無茶ながらも自分達に稽古をつけてくれたあの尊敬と恐怖にトラウマをブレンドした様な存在であるリリス様。
そのリリス様と何故か一緒にいる黒髪の男。
あまつさえ親しそうに。
それに対して嫉妬や妬みと言った感情を抱いている訳ではないはずなのだが、どうにも腑に落ちない。
この男からは何か強い魔力を感じる訳でもなければ、隙のない熟練の風もない。
ただ黒髪であると言うだけ。
それだけの男が何故リリス様と。
それにルミア様とも何か繋がりが、それも深いものがあるようだ。
ルミア様には普段からマスターや騎士団の方がついているにも関わらず。
謎だ。
謎過ぎる。
名前以外何も知らない。
エルトとミーネも同じ様に警戒しているのがわかる。
今朝の動きからただ者ではないことだけは確かなのだ。
今はユミル達もいないし下手には動けない。
「な、何のようだ!!」
「?…用?」
僕は何を言っているんだ。
帰り道でたまたま会っただけなのに。
「い、いやすまない。歩きながら少し話しでもしないか?」
この男については情報が少なすぎる。
敵にするには危険過ぎる。
まずは見極める。
「…しない」
「え?」
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