ボーイミーツティーチャーズ

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何だこいつ。 今朝もこんな感じだったか? 「アクア…ミーネ・アクア」 僕が戸惑っていると後ろにいたミーネが徐に僕の前へ出て自己紹介をした。 「南蛮!?ゴボンゴホン…及川零」 及川は何かよくわからないことを口走り驚くと、咳払いをして自己紹介をした。 「自己紹介は教室でやっただろ?」 そんな情況についツッコミをいれてしまう。 「…聞いてなかった」 「そ、そうか」 「…あんな自主性のない自己紹介に…意味はない」 「そ、そうか」 突然真剣な顔でそんなことを言い出すから、若干たじろいでしまった。 こいつは何を言っているんだ? こいつにとって自己紹介はそんなに大事なことなのか? 僕が自己紹介をしなかったから、こいつは話をしてくれなかったのか? 訳がわからない。 しかし、それはリリス様も似たところがあるし、だからこそなのかも知れない。 ここは大人しくミーネを習おう。 「ロイド・フレイムだ」 僕は自己紹介とともに手を差し出した。 「…知っている。それじゃあ」 「はっ?」 何なんだ一体!! しかし、及川は僕の手には目線も向けず背を向ける。 僕にどうしろと? 僕のペースが崩されていく。 あーもー!! と頭の中でぐるぐると思考している間にも及川は本当に背を向けて歩いて行ってしまう。 ミーネはその背中をただじーっと見てるだけだし、エルトは相変わらず警戒している。 「待ってくれ!!」 この男とはリリス様がいないところで一度話しておかなければならない。 この機を逃すと次はいつチャンスがあるかもわからないし、そのままずるずると引き摺ってしまう気がする。 「ん?」 及川は首だけを捻りこちらを向く。 「帰り道は一緒なんだ。一緒に帰ってもいいんじゃないか?」 「…よくない」 僕の問いに及川は僕の後ろを指し答える。 「?…ああ、エルト。大丈夫だから」 後ろを見るとエルトが未だにミーネの肩に隠れて犬歯を剥いていた。 「何が?どこが大丈夫なの?」 僕の言葉にエルトは不満そうな顔を隠そうともせず反発する。
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