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「こっちこっちー」
ルミアが黄緑とミーネたんを手を引いて奥のリビングへと案内する。
ここはお前の部屋か!!
それにお前、わかっているのか?
その扉の向こうにはあいつがいるんだぞ?
こいつらもその事実について信じていないのか忘れているのか、なんの迷いもなくルミアに着いていく。
傍目には友達を自分の家に無邪気に案内しているだけだが、実際は何も知らない友達を悪魔のもとへと誘い込んでるからな。
リリもこの半年でルミアとはなかなか悪くない関係を築っているわけだが、リリ自体が丸くなっているわけではないところが問題であり楽しいとこだ。
「いらっしゃーい!!」
そんなこととは露知らずルミアは勢いよくリビングのドアを開け放つ。
「おっじゃまっしまーす!!」
「…お邪魔します」
それに続いて黄緑とミーネも部屋に入っていく。
そして…
「おい」
ロイドが開けられたドアの前で立ち止まり入る気配がないので後ろから声をかけるが、どうやらロイドの耳には届いてはいないようだ。
ロイドの肩越しに見える部屋の中では同じ様な硬直者が二名。
「ん…なんじゃおぬしら」
その奥には白いソファーの上でうつ伏せに寝転がりながら足をばたつかせる幼女がいた。
格好は白いタンクトップに白い短パン。
恐らく今日の買い物で買ったものだろう。
幼女は身体を捻りこちらを向くと、大して驚くこともなく吐き捨てる。
その言葉にロイドが少しビクつくのがわかる。
「そういえばリーちゃんはみんなとは知り合いなんだよねー」
そんな中エアーブレイカーが能天気に笑う。
「丁度いいしみんなも夕飯食べていきなよ。そろそろ零が帰って来ると思って作ってたんだー」
いやいやおいおい。
何勝手に我が家の主導権独り占めしてんだよ。
しかもまだ俺も踏み込んでないキッチンを我が物顔で使うとか何事だよ。
同級生の女の子の手料理程度で俺の心はちょっとくらいしかときめかねんだよ。
そんなシチュ何百回と経験してんだ。
ゲームと圭織で。
それに見てみろ可哀想に。
黄緑震えてるじゃねぇか。
ロイドも顔色悪いし、ミーネたんは身動ぎひとつしていない。
このままドアに結界でも張ってこいつら出れなくしてやろうか。
心踊るじゃねぇか。
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