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「ふぅ、着いたか」
そこは青々と木々の生い茂る山の中だった。
5m程の広葉樹の傘が陽の光を遮り少し薄暗いがじめじめはしていない。
耳を澄ますとそこかしこから生徒の喋り声や足音が聞こえる。
幸い俺はまだ誰にも見つかってはいないようだ。
「さて、どうしようか」
いきなり他生徒と鉢合わないようケータイを取り出すとこの辺り一帯の生徒分布マップを立ち上げる。
「チートチート♪」
生徒の位置が丸わかりだぜ。
とりあえず俺は行くあてもなくただ他の生徒に見つからないようぶらつくことにした。
「くらえ!」
「負けるか!」
「おおおおおお!」
生徒たちが戦う声や爆発音をBGMにケータイでマップを見る。
ちらほらとマップ内の赤丸が消滅しているのがわかる。
ダメージを受けた生徒が強制転移されているのだ。
「取り敢えずは様子を見るか」
開始直後ということもあり暴走している生徒もいるようだし、まずは場の混乱が冷めるのを待とう。
ということで待つこと1時間。
ケータイで某積ゲーをして時間を潰していたらあっと言う間だった。
生徒の数は半数近くにまでなっていた。
「って半数!?」
たった1時間で約200人が退場とか、ペースが早過ぎるだろ。
ざっと見た感じでも俺の周りでは俺のようにまだ他生徒とあってもいない生徒も少なくないというのに。
この検査の時間を考えても…いや、まぁ1人が1人退場させれば半数になるわけだし、そこまでおかしくもないの、か?
と言うか、この時点で生き残ってる俺、勝ち組じゃね?
って駄目じゃん。
「早く死なないと!!」
場面によっては危ない子発言していたが、そこで俺はあることに気が付いた。
少し遠いがこの山を越えた辺りで俺のよく知る魔力が荒ぶってる。
俺は急いでその周辺をケータイのマップに出す。
そこでは一つの赤丸を複数の赤丸囲むように位置し、物凄い早さで消えていっている。
現在進行形だ。
これは…心躍るな♪
俺も行くとしよう。
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