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零を起こすのは…やめた方が良さそうじゃな。
こんな状況下でここまで熟睡できるのもどうかとは思うが、ここで起きられても何をしでかすかわからないので、老樹の下で爆睡しているパートナーの存在は一旦置いておくことにしたリリス。
しかし、
「これからどうするのじゃ?」
特に何かをしたいわけでもないリリスなのだが、きらきらオーラを出している少女を前にして一抹では済まない不安を抱きながらも話を振ってしまう。
「きいてくださいです!!」
「な、なんじゃ!?」
その問いに待ってましたとばかりに詰め寄ってくるアイロ。
その勢いに若干たじろぐリリス。
「アイはすごいことにきづいてしまいましたです!!」
更に詰め寄ってくる。
「…なんなんじゃ?」
後退りするリリス。
そしてアイロは自信満々に言う。
「アイたちみたいなたたかいの強くない人たちはたたかわずにかくれてればいいです!!」
「?」
「だーかーら、べつにむりしてたたかわなくてもいいんです♪ようはやられなければいいんですからかくれてしまいましょう」
人差し指を立てて何やら得意そうにアイロはリリスに説明する。
そしてそんなことは先程零と話していたリリスはそんなことかと息を吐く。
「ふぅ。そうじゃな」
「何をしているんです?こんな所にいてはいつほかのせいとさんに見つかるかわかりませんです。さぁかくれましょう」
「わしも入っておるのか!?」
アイロに手を引かれるリリスは先程までの『アイたち』の『たち』に自分が入っているとは思っていなかったので虚を突かれてしまい、またしてもアイロに振り回される形になってしまう。
「とうぜんです。きゃるる~んの人も早くかくれないと見つかってしまうです。ですのでアイロたちにはいっこくのゆうよもないのです」
リリスを引っ張りながら周りをきょろきょろと見るアイロ。
「そう言われてものう」
アイロに引っ張られながらも1mmたりとも動くことなく困った顔をするリリス。
「わしはあそこにいる零を見張っておらんといかんのじゃ」
ほかっていても特に問題はないとは思うのだが、今回はアイロを振り払う為の言い訳として置いておいた零を拾うリリス。
「?」
リリスの指先を追って初めて零の存在に気付いたアイロは、老樹の下で熟睡する零を見て?を浮かべる。
「あの方は怪我でもなされたのです?」
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