ボーイミーツティーチャーズ

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アイロは少し心配そうな顔をしながらリリスに聞く。 こんなサバイバル中に昼寝をしているなんて夢にも思っていない顔だ。 いや、普通は思わなくて当然だ。 しかし、普通ではないのが及川クオリティ。 リリスはそれを単刀直入に教えるだけ。 「いや、あれは寝ておるだけじゃ」 「?」 「あれはただ暇だから寝ておるだけじゃ」 リリスの言葉に首を傾げるアイロにリリスはもう一度繰り返す。 「…っええええええええええ!?」 2回目でやっとアイロも理解したようだ。 両手を勢いよく上げて驚く。 決して可愛さアピールを狙っているわけではない。 自分の感情に正直なのだ。 リリスは叫んだら他の生徒に居場所を教えているも同然だろうと思うものの、それも今更だろうと思い腕を組んでほかっておくことにする。 「おおお、お昼ねです!?」 自分がびくびくしながら逃げ惑っていたにもかかわらず、こんな見晴らしのいい場所で無防備にも、寝ている零が信じられないという顔だ。 「そうじゃ。お主も寝るか?」 アイロの驚き加減に気をよくしたリリスはおちょくるつもりでそんなことを提案する。 言っておくが、リリスの思考回路はその歳を感じさせないガキ仕様だ。 「ななな、何を言っているんですか!?」 リリスの期待通りオーバーリアクションをとるアイロ。 「いや、まぁ暇じゃからな」 「ひまじゃないです!!いつほかのせいとさんに見つかるかわからないんです?これじゃにげばがありません」 アイロがひらけたこの辺り一面を手を振って示しながらリリスに訴える。 アイロとしては早くこの場から逃げたいのだが、自分と同じくらいの体格であるリリスを見捨てることができないようだ。 しかし、当のリリスはこの場を動く気がないのでアイロは困っている。 「確かにの」 リリスはアイロの話を聞きながらアイロの肩を引いてその前に立った。 この場合の前とは零を背にした森の方だ。 その顔は友達に新しく買った玩具を自慢気に披露する時の子供のようなものだった。 「やっとわかってくれましたです。それではあの方を起こして...」 未だに零を起こそうとするアイロを手で制すリリス。 「暇潰しくらいにはなるじゃろうな?」
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