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「え?」
リリスの言葉の意図が分からないアイロは?を頭に浮かべる。
しかしその意味もすぐに分かる事になる。
何かが森の中で光った。
「やれやれじゃな」
次の時にはリリスの頭の前で火花が散り、堅い物体同士がぶつかった時のような高い音が響いた。
鎖付き分銅。
風魔法を纏った分銅がまるで銃弾の如き速さで飛んできたのだ。
そしてリリスの出した魔法壁によって弾かれた。
森の奥からリリスの頭を正確に狙って放たれたそれは宙で弧を描いてから、鞭を打つように鎖に引っ張られて再び森の中へ戻っていく。
「ななな、何ごとです!?」
「さぁの」
先程までのリリス達の会話を聞きつけた生徒がずっと攻撃の気を狙っていたことをリリスは気付いていた。
気付いた上で泳がせていたのだが、相手もそのことに気付いたのかなかなか行動を起こさないのでリリスが前に出て挑発したのだ。
「やはり大したことないのう」
武器への属性付加と言えば魔法学園の一年生としては相当上位の実力なのだが、リリスからしたらそんなことは大して変わりない。
生徒との戦闘にも飽き始めた頃合いだ。
「これならあやつらの方が幾分ましじゃな」
ここで訓練生にして世界を救ったと言っても過言ではない奴等を出すのも酷というものだろう 。
「ににに、逃げるです!!」
そんなリリスの手をアイロが勢いよく引っ張るが、リリスはびくともしない。
こやつは何がしたいのじゃ?
逃げたいのであれば勝手に逃げればよかろうに。
そんなことをしている間に森に隠れていた生徒が勢いよく飛び出してきた。
「これなら!!」
森から飛び出してきた生徒は3m程上に跳躍すると、袖の大きな腕を両腕とも一度後ろに引き、水泳のバタフライをするような要領で腕をこちらに向けてきた。
するとその袖の中から先程と同じ鎖が2本ずつの計4本、リリスに向かって飛び出してきた。
「つまらんの」
しかしリリスはそんな鎖にも特に驚くこともなく、一言呟くと一歩後ろに下がった。
「かかったな」
鎖少年はそんなことを嬉々として叫ぶと、前に伸ばしていた鎖のつながった腕を素早く交差させた。
するとリリスの前で交差した鎖はまるで生きているかの如く軌道を変え、リリスを取り囲むように動いていく。
リリスを鎖でぐるぐる巻きにする寸法らしい。
そんなことに巻き込まれたアイロは為すすべリリスの後ろで頭を抱える。
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