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チェーンソーの如く動いていた鎖はリリスの手によってガッチリと掴まれた。
「何!?だが、甘い」
しかし鎖少年もそんな現状に狼狽えることなく次の行動を始める。
「ピ、ピカチュウ」
だが、鎖少年は地面に足を着けることなく強制転移されることとなった。
零に雷属性の魔法を使うのに詠唱が必要ないときはこう言うように頼まれて今まで訳も分からずしてきたのじゃが、これはもう癖みたいな物になってしまったようじゃな。
「…」
この数十分の間で何回目かになる生徒を強制転移させたリリスは先程まで騒いでいたアイロが静かなことに気づき、背後に目を向ける。
そこにはしゃがむアイロがいた。
その背中は少し震えているように見え、リリスは首を傾げる。
と、次の瞬間。
「すごいです!!」
がばっと勢いよくリリスに抱きついてきた。
「な、なんじゃ!?」
「きゃるる~んの人、実はとっても強かったんですね!!」
尊敬の眼差しでリリスの手を握るアイロ。
「そ、そうじゃ。だからお主とわしを同じにするでないわ」
リリスは満更でもなさそうに握られていない左手で顔を掻きながら言う。
「それにそれに、さっきの魔法なんですか!?とっても可愛かったです」
前言撤回。
尊敬とはまた違うようだ。
アイロはプレゼントに貰ったテディベアの如くリリスを抱きかかえ、嬉しそうに回る。
マスコットか何かだと思っている風である。
「や、止めぬか!!」
そんな腕の中でリリスはじたばたとする事しかできない。
「ピカー!!」
「うにゃあああああ!?」
なんてことはなく、鎖少年同様アイロはビリビリされて強制送還された。
「はぁはぁ。まったく、やれやれじゃな」
リリスにとっては特に関わりもない相手なら男から幼女、はたまた魔獣にも特別な区別や差別をすることはない。
不快なら攻撃するし、邪魔なら攻撃する。
先程まではそこまで嫌ではなかっただけだ。
リリスはアイロが白い光に包まれて転送されたのを確認すると、1km程前方に見える木々の茂る山頂に向かって右手を上げる。
「そろそろかのう」
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