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その手の動きに反応したかのように山頂でなにかが光った。
「まだまだじゃな」
そう言い終わると同時にリリスの手の前で轟音が響き空気を揺らす。
それは山頂から放たれたレーザーをリリスが魔法壁で逸らした音だった。
それは周りを紫色の光で照らしながら一直線の線のようにリリス手前まで伸び、そこで斜めに軌道を曲げて…。
「あっ」
「あべしっ!?」
零に直撃した。
無防備に寝ていた零は何事かと頭をかきながら周りを見渡す、レーザーに当たりながら。
「あぁ、…じゃあ後は頑張れ」
リリスに手を振りながら強制送還された。
わしとしたことがやってしまったのじゃ。
あやつら、最初からこれが狙いだったか?
いや、それはないか。
まぁ、よい。
零が退場したからといって何の不都合もないのじゃ。
逆に零が変なことをする前にいなくなったのはよかったとも言える。
もう少しでレンも来るじゃろうしそれまで遊んでやるか。
零が転移してすぐ、レーザーは止まり、老樹は少し焦げた程度で済んだ。
それはレーザーが弱いのではなく老樹が強かったという訳なのだが、それはいいだろう。
レーザーが止まったことを確認したリリスは魔法壁を消し周りを見渡す。
「そこじゃな」
そう言うと同時にリリスは右手を真っ直ぐ真横に伸ばし指先を向ける。
するとそこから先程のレーザーの細いものが発射された。
「流石ですね」
レーザーは何かに当たったのか空中で弾かれ、徐々にその場からロイドが現れた。
上級魔法の一つ、″カルミラージュ″。
温度差を利用して光の屈折を故意的に起こして自分の姿や武器などを見えなくする、もしくは誤認識させる火属性の魔法だ。
じゃが姿が見えない程度でわしの目を欺くことなどできぬわ。
「そして」
「ぐわああ!?」
リリスはレーザーを少し強めてロイド吹き飛ばすと同時に左手を地面につける。
「これが囮だとわからないわけがなかろうに」
リリスの両脇から電柱程の木の根が2本、勢いよく天へと伸びる。
そしてリリスの見上げる先では槍を構えるラジアと右腕を土で10倍ほどの大きさに魔装したセレスが根に巻き付かれてもがいていた。
「くそ、放せババア!!」
「駄目か」
悔しがる2人だが、その口元が不意に緩む。
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