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「バレバレじゃな」
しかし、リリスは動揺のどの字も見せることなく次の行動に移る。
死角となっている背後に向かって振り向くこともなく後ろ手を翳して空を撫でるように動かす。
それに呼応するようにリリスの両サイドと同じ様に背後にも太い根が突き出し、その突如に弾け飛ぶ。
穴の空いた木の根の向こうには魔銃の銃口をこちらに向けるミーネの姿があった。
その銃口からは魔法の残滓が白い煙となり上がっている。
ミーネのその無表情な顔からはその心中を察することはできないが、こちらも動揺していないのは確かだ。
右手は未だに魔銃を握り銃口をリリスに向けている。
ミーネの魔武器である魔銃の装填数は10
。
続け様に8発の通常魔弾が放たれるがその全てを木の根が阻む。
そして9発目。
それはリリスではなくその足下に打ち込まれ、その瞬間水蒸気が周り一面を覆った。
火魔法と水魔法の合成魔法だ。
それにより出来た隙にミーネは左手をポケットに入れ、次の銃弾を取り出し素早く装填をする。
リリスはその手際の良さに関心しつつも、その指を真っ白な霧の向こうに伸ばす。
「この程度で時間稼ぎとはな」
ミーネ自身もリリスの正確な位置は把握出来ておらず、その威圧的な声に思わず銃弾を落としてしまう。
ミーネは咄嗟に目の前に魔法壁を張るが攻撃は前からではなく下から来る。
「きゃっ」
真っ白の世界の中でミーネの小さな悲鳴が上がる。
しばらくして霧が晴れたときには、人を巻き込む木のオブジェが3つ出来上がっていた。
「あとはリゼじゃな」
ユミルは先程までリゼと一緒にいたみたいじゃが、自ら脱落した様じゃ。
さて、あそこまで離れたあやつをここまでどう引っ張り出すか。
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