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「あぁ、暇だなぁ」
悔しそうな顔や怖いことでもあったのか青い顔をした生徒が多くざわつくそこは、試験の始めに集まっていた広場だ。
そして彼、彼女らは一定のダメージを与えられて強制転移させられた生徒だ。
この世界、巨大なスクリーンで試験の状況を見ることができる訳もないのでただ試験が終わるのを待つのみだった。
そしてそんな広場の隅っこ、多くの生徒から少し離れた木にもたれ掛かってケータイを弄っているのがこの俺及川零だ。
俺が何をしてるのかと言うと、そんなのは勿論ケータイで試験の状況を見ているに決まっている。
本当は最初から適当にやられてこうする予定だったのだが、やれやれやっぱり現実はそんなにうまいこといかないぜ!
俺はノーマルだし、この世をゲームだなんて思ってないけど。
…変な死亡フラグを拾う前にこの話は止めよう。
丁度俺と入れ替わりで始まった戦いも割とリリは楽しんでいるみたいだ。
力量差は雲泥だが、あいつらも息のあったコンビネーションでその差をなんとかカバーしている。
カバーと言ってもその差がそう簡単に埋まるはずもないので、リリが動き出せばすぐに決着は着くだろうが。
そんな感じで分析をしているわけなのだが、ふと人混みから視線を感じた。
顔を上げるとそこには白い髪のあいつがこちらを見ていた。
アチャー。
俺の存在を認めた白いのが近付いてくる。
俺は急いでケータイをしまい横を向く。
「やあ」
「…」
そんなイケメン爽やかスマイルされても無視に決まってますよ。
「ははは」
そんな俺の態度に白いのは苦笑いを浮かべる。
ロイドが吹き飛ばされてからどうなったか気になるんですけど。
「えっと、ファミリーネームが先だから…零でよかったか?」
よくない。
と言えることもなく、まぁ無視しときましょう。
「どうした?」
白いのは俺が無視しているとは思っていないのか俺が向けている目線の方を一緒になって見る。
その先には特に俺も意識して見ていたわけでもないのだが、教師達がレンを中心に集まっていた。
話の内容は例年に比べて生徒が脱落するのが早い。
あの装置の影響だと推測されるので今後の対応も~
みたいな感じだ。
そして白いのがその視線の先に目を向けたのと同時くらいに、タイミングがいいのか悪いのかレンと目が合ってしまった。
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