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「わぁあ。昨日は疲れたなぁ。おかげでいつ寝たが全然覚えてねぇや」
昨日は死力検査とやらで色々ごたごたしていたからか、大したことはしてないが精神的に疲れた。
昨晩の記憶がないのがその証拠だ。
しかし何故だか頭が痛いな。
「ははは。そうじゃな」
リリも疲れたのは同じなようで少し遠い目で賛同してくれる。
昨日のレンとの戦いを思い出しているのだろう。
「まぁ、昨日はお前が楽しそうで何よりだ。最近はなんか溜まってるみたいだったしな。何かあったらあんまり抱え込むなよ」
こいつは独りで悩んで自爆するタイプだからな、たまにガス抜きしてやらんと。
まったく、しょうがない奴だぜ。
そんな話をしながら俺とリリは我等が教室、1-Jに着いた。
教室内は見えないが、もう殆どの生徒は来ているようだ。
「それじゃ」
リリにインキャラになるという意味で合図してから前側のドアを開けて中に入る。
リリもやれやれといった顔で続く。
俺が入った瞬間、ざわついていた教室が一瞬沈黙した。
みながコソコソしながらこちらを見てくるが、それが俺へなのかリリへなのかは定かでない。
後ろの方で集まって喋っていた生徒等も直ぐに席につくが、すぐにぎこちなくではあるがお喋りを再開したので、俺達も席に向かうことにする。
席は昨日の場所で固定するようなので俺とリリは窓側の後ろの席。
これなら後ろのドアから入ればよかったなと思いながら自分の席を見ると、その席の前で何かをしているルミアの後ろ姿があった。
何やってんだ?
俺は肩身を狭くし俯きながら席へと向かう。
「…………」
「あっ、えっと、これは…」
俺の足音で気付いたのか、一生懸命何かをしていたルミアは振り返り俺と目が合うと、席を隠すように俺の前に立ちはだかり手を振って何かを誤魔化そうとする。
そこで俺は何となくの見当はついた。
まったく、お前が庇うなよな。
「邪魔」
俺は若干涙目であたふたするルミアの肩を引くと自分の席に着いた。
泥や落書き、少し焦げた跡もある机に。
幸いリリの席は何もなく綺麗なままだ。
「ちょっ、ちょっと、制服が」
汚れた席にそのまま座ったのだ。
制服は泥やら変な液体やらがついてぐちゃぐちゃになる。
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