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「簡単に言うと、この魔導書『森羅万象の書』を使えば誰でも植物属性の魔法が使えるんじゃよ」
「誰でも!?」
「わしが認めた者で多少なりとも魔力を持っておればの話じゃがの」
それってやばくね?
絶対どっかの組織やら国やらがリリを狙ってくるフラグ建ったじゃん。
胸熱だから歓迎だけど。
「へー、ありがと」
事の重大さをわかっていないルミアは素直に感心しながらその魔導書をリリに返す。
「最初からこれが出てくることはわかっておったんじゃよ」
リリはつまらなそうに言うと森羅万象の書とやらを上に投げ消す。
それにより周りや校舎の窓から向けられていた好奇の視線もなくなる。
しかしこの魔導書の存在によりリリの存在は学園内でさらに大きなものとなったことだろう。
これで俺も少しは動きやすくなることを願うとするか。
「うむ………ん?」
そんな今後の学園ライフについて思考を巡らせていると、いつの間にか今度は俺へと視線が向けられていた。
どうかなされましたか?
顔を上げるとルミアやリリ、パステル共は勿論、他に数人の生徒が俺のことを伺っているようだ。
期待されている…だと?
その幻想をぶち殺「後は零だけだよ?」
ルミアが近付いてきて心配そうに声をかけきた。
「(任せんしゃい)」
俺はルミアにだけ聞こえる程度の小声で言うと、リリとすれ違う。
「……………。」
もう俺の出番かッ!?
魔法陣なんて描いたことねぇよぉ。
内心パニックになりつつも刺さる視線に急かされながら、俺は先程のレンやルミアの魔法陣をお手本に思い出し魔法陣を描いていく。
「(え~と、確か…)」
ぶつぶつと独り言を言いながら普段は使わない完全記憶能力を存分に発揮する。
意味は知らないけど黙々とよくわからない図形やら文字やらを書き込んでいき、あまり早く描いてもあれなのでたっぷり10分程掛けて魔武器召喚の魔法陣が出来上がった。
「ふぅ」
内心では
『出来たぜヒャッフーーー!!』
と初めて自分で描いた魔法陣に狂喜乱舞しながらも、なんとかポーカーフェイスを保ち冷めた目で魔法陣を見下ろす。
出来栄えは…65点だな。
って言うかコンパスもなしに円描くの難しすぎるんだよ!!
なんでお前らフリーハンドであんな綺麗な円が描けるんだよ!!
意味わかんねぇよ!!
「………」
「零?みんな待ってるよ?」
そうだよ!!
本気出して10分もかかったんだよ!!
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