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「……すまない」
気付けば俺以外のクラスメートは全員魔武器召喚を終えているようで、完全に俺待ちだった。
「わー、見て見て」
「何あれ」
「訓練生にもあそこまで酷い子はいないよねー」
「あんなんで召喚出来んのかよ」
「あれが噂の0判でしょ?」
「私2判定で落ち込んでたんだけどなんか自信出てきた」
「うわっ、黒髪じゃん」
「何?あの落書き」
「早くしろよなクソが」
は…ははは。
こ、小物共がさえずりやがって。
耳にこここちいいんだぜ?
「れ、零」
んな目で俺を見るなルミア。
「……ふぅ」
しょうがねぇからやるか。
特に希望はないがあんまり派手なのが出るとめんどくさいな。
まぁ、その辺は出てから考えるとしよう。
俺は先程ロイドから受け取った魔石を片手で水平に持ち上げて構える。
壊れないように魔力を制限し魔石に魔力を込める。
魔力量ならあの白や教師にバレる恐れはあるが、魔力レベルとなればバレることもないだろう。
最上級の魔力だ。
なんとか機能してくれた模様の魔法陣が光り出す。
やっべ、さっきのリリの時みたいに光が強過ぎたら元も子もねぇ。
そう思ったときにはもう遅く、魔法陣は先程のリリに負けない光を発し、興味をなくしていた生徒が驚き振り向くのが見える。
一瞬目が眩むがそれはすぐに収まりその手には魔武器が……
「スマフォ?」
一体どんな兵器が出てくるのやらと構えていた俺の右手には、片手でギリギリ持てる程度の大きさのポータブルタブレットが握られていた。
こ、これは見たことがあるぞ。
俺がまだ死ぬ前、巷で次世代のケータイだと騒がれていたあれだ。
だが、それが何でまた?
トゥルルル…トゥルルル…
「ぬわっ!?」
予想外の代物をどうしようかと眺めていると、それは突然バイブレーションを伴って電子音を響かせた。
突然のそれにスマフォを落としそうになりながらも画面を見ると、そこには『神』と着信画面が映し出されていた。
顔を上げると生徒が説明を求めるような目を向けている。
「零?それが魔武器?」
そんな生徒の代表とばかりにルミアが近付いてくる。
「ちょ、ちょっとストップルミア。ちょっと待ってくれ」
「あっ、うん」
左手を上げてルミアを制すと恐る恐る通話のボタンを押してみる。
「もしもしー!!零君?わしだよー」
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