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「あん?」
聞き覚えのあるおっさんの声に苛立ちが隠せない。
こんな人目しかない様なとこでこんな面倒なことすんなよ。
時間止めとくか。
「あれれ!?怒ってる?」
「三行」
「魔武器召喚で
ケータイアップグレード
お気に召したかな?」
「ほぅ。いいんじゃないか?」
「おおー!!よかったよかった。時代はタッチパネルだと聞いたのでね、零君も気に入るかと思って渡すタイミングを見計らっていたんだよ」
「それで今だと」
「何かまずかったかな?」
「まったくだ。俺が神と繋がってんのがバレたら面倒なことになるだろ。TPPわきまえろ」
もし時間を止めてなければスマフォを耳に当てながら1人喋る俺の姿はさぞ滑稽に写ったことだろう。
まぁ問題はない訳だが。
「ごめんごめん。って、そんな貿易戦略協定なんてわかんないよ?」
「失礼、噛みました」
「わざとでしょ?」
「神はいた!?」
「わしだね」
「神剥いだ」
「何を!?」
「神を剥ぐ」
「皮を!?やめて!!」
「まぁ元気そうだな」
「零君もね」
「ったく。なんかするなら先に言えよな」
「ごめんって。こっちの世界からそっちの世界に干渉するにはそっちからこっちに干渉してくれるのが一番手っ取り早いんだよ」
「それで召喚に合わせたわけか。……まぁいいだろう。そんな怒ってる訳じゃねぇし。話を続けてくれ」
「あ、うん。零君には色々と無茶なお願いをしてるからね。能力以外にも何かしないととは思ってたんだ」
「それはそれは殊勝な心がけなことで。そんな無茶なこともなかったが、まぁくれるってんならこれはありがたく貰っとくさ」
確かに考えてみれば、こっちの世界に来たのもアッシュたんをなだめたのもなかなか無茶ではあるが、このチカラがあればそんな苦労なことって訳でもないんだよな。
神の方が勝手に負い目を感じて色々してくれるなら、俺はそれは甘んじて受け入れるだけだ。
「うんうん。これで今までよりもさらに検索とか通信とかし易くなると思うんだ。簡単な説明書は直接脳に送っとくね」
「おう。なんかありがとな」
「いやいや。こちらこそ楽しみにしてた魔武器召喚に茶々入れみたいなことしちゃって悪かったね」
「別に。俺はもう2つ持ってるからいいよそんなの」
「そっかそっか。それじゃあ“これから”も頑張ってね」
「おう」
「それじゃ!!」
プツン
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