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今朝方、用事があるからと出て行ってどこ行くんだろうなぁ、とは思っていたけど。
まさか俺を挟まずにここまでレンと関わっていたとはなぁ。
こいつの言葉は俺にしかわからないはずなんだが、こいつは俺らの言葉がわかるし、レンならちょっとした仕草や雰囲気で意思疎通ぐらいしてしまえるのかも知れない。
「何をしておるのじゃ?」
わかっているだろうに意地の悪そうな笑顔でリリが近付いてくる。
「別に。お前は説明聞いてなくていいのかよ?」
俺は魔法陣を描いているレンの方を顎で促す。
「わしはいいんじゃよ。緑の一族にファミリアという文化は元々ないのじゃ。あれも強制ではないようじゃし、あやつの了解も得ておる。それに…」
リリは徐に俺の方へと手を伸ばしてくる。
「わしにはアッシュがおる」
「にゃっ、にゃにゃー(しょっ、しょうがないわねー)」
じゃれ始める一人と一匹。
「それじゃあ今度は一人ずつやってくぞお」
魔武器とは違い今度はレンの監視の元で行うようで、生徒が一列に並び順番に召喚を始める。
「あいつらはファミリア持ってねぇのか?」
順番を待ってレンの横で固まって話をしているパステルカラーを見てリリに聞く。
「あやつらは何でも代々親から受け継がれておる共通のファミリアがいるようじゃ」
「ふ~ん、紫と白もか?」
確かあいつらの中でも紫と白以外は七大貴族とか呼ばれるやつのボンボンだったはずだ。
それを考えればそいつらはわかるが、その他の二人がどんな家系出なのかわからないのでリリに尋ねる。
「おぉ、そうじゃったそうじゃったようわかったの。リゼは前のストレージ封印の時に契約したんじゃったな」
忘れていたとばかりに手を打つリリ。
その間も続々とクラスメート共がファミリアと契約をしてきゃっきゃっしている。
その殆どが魔獣の様な小動物か大型でも鷹のような鳥やドラゴンとは言い難い大トカゲなどばかりだ。
先程からチクチクと送られてくるカラフルな視線については気づかない振りをしておくとしよう。
そこで、
「みてくださーい!!」
生徒を掻き分けてアイロが駆け寄ってきた。
「な、なんじゃ」
そんなアイロに未だ慣れていないのか一歩後退りしつつも律儀に応答するリリ。
「アイにもファミリアができましたです!!」
溢れんばかりの笑みと伴に差し出したのはその小さな手の平にさえ収まってしまう程小さな赤い小鳥だった。
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