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「おーい、もうユミルの出番だが準備は出来てるかー?」
そこにレンが駆け寄って来た。
「お、いたいた。わりいなあリリス。色々と訳ありだしオレはそういうのあんま得意じゃねえだよ。リリスがいてホント助かったぜ。ありがとな」
「そ、そうじゃな。…任せておれ」
「おお、ありがてー。じゃあ頼むな」
レンはリリを見つけると両手を合わせて頭を下げる。
そんなレンに呆気にとられさっきまでの我が儘はどこへやら、リリもその流れにつられてあっさり承諾した。
要は理由やきっかけが欲しかっただけ。
まさにガキだな。
「最初からそのつもりだったんでしょ?それならあんな意地悪しないで最初から快く皆のお願いを聞いて上げてたら皆気持ちよかったのに。どうしてそうしなかったの?リーちゃんは頭がいい子なんだからわかるよね?」
「…そ、そうじゃな」
「リーちゃんはまだちっちゃいからわからないこととかもいっぱいあると思うけど、相手を思うことに年齢は関係ないからね」
始まったよ。
聖母の如きルミアの説教。
詰めは甘いがやけに正論過ぎてなかなか口出しできないし、された相手は良心が抉られる。
「ル、ルミちゃん。その辺で……」
こんなルミアを今まで見たことがなくて驚いているのか、こんな状況のリリを恐れているのか、黄緑がルミアの肩をたたき止めに入る。
「あっ、ごめんね。でもここでしっかり教えて上げないとリーちゃんの為にもならないから。ね?」
そんな黄緑をルミアは片手で制し、リリに同意を求めるように笑顔を向ける。
こえぇ。
「……」
リリは完全にいじけモードで下を向いてしまっている。
かわいい。
俺が抱き締めて上げなきゃ!!
「確かにそうだけど、今はこっちの方が優先事項かな?」
しかし俺が手を伸ばすよりも先に先程から校舎裏からこそこそとこちらを伺っていたルフナがリリの前に立ち、開いていない目で白のいる方を促した。
そこでは魔法陣を描き終わった白がこちらを見ていた。
「ルフナさん!?」
ルミアがルフナの突然の登場にびっくりする中、解放されたリリはそれでもうつむいたまま足で地面を弄っている。
「ん?」
そこでルフナとリリを交互に見て戸惑っていたルミアを俺は手招きして呼んだ。
ルミアはまだ言い足りないのか、後ろ髪を引かれるようにしながらも俺の元へと近寄ってくる。
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