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「零からも言ってあげてよ。リーちゃんはやっぱり」
俺にまで矛先が向きそうなルミアの発言を手を上げて制す。
「(お前なぁ。あれでもリリはあいつらの師匠なんだぞ?あいつらにはあいつらの距離感があるし、師匠としての考えがあるのかも知れないだろ?お前があんなこと言ったらリリのメンツは丸潰れだろうが)」
俺は周りには聞こえないようにルミアの耳元で言う。
「でもさっ」
「(お前の言ってた事は一般的な見解としては間違いじゃないと思うが人と人との関係なんてそんな簡単なもんじゃないだろ?)」
「……うん」
「(あいつらの関係はあれでいいんだよ。さっきのはお前のお節介だ。謝っとけ)」
あいつらはあの関係が一番面白いんだからお前が壊すなよな。
と言うのが本心なのは言わない。
「……ごめんなさい」
「謝る相手が違うだろ?召喚が始まる前に行ってこい」
下を向きいじけているリリの方にルミアの背中を押して送り出す。
まったく、あいつは無駄な手間をかけさせやがって。
リリの歳やら何やらを教えてしまうのが一番手っ取り早いと思うんだが、それは今の関係を壊してしまうかも知れないから嫌だ、とリリに口止めされている。
めんどくさい奴等だよホント。
「リーちゃんごめんなさい!!」
「ぬっ!?」
「リーちゃんにだって色々と考えとか関係があるのに何も知らないわたしがいきなり口出ししちゃって」
「い、いやわしもあやつらに意地悪をしている自覚はあったんじゃ。お主が謝ることではない」
「ううん。師弟関係にそういうのがあるのは普通だし、それをよしとする訳じゃないけどいきなり横槍を入れるのはやっぱり違ったんだと思うの。零にもそうやって怒られちゃった。だからやっぱりわたしが悪かったの。ごめんね。許してくれる?」
「許すも何も、わしこそ悪かったの」
「ありがと!!これで仲直りだね。何するのかわかんないけど、頑張ってね!!」
はっきり言ってイライラしかしない茶番がやっと終わった。
「そ、それではお願いします」
話が終わったのを確認したロイドは一度リリに頭を下げると白に手を上げて合図をする。
白はそれに応えて頷くと片膝立ちで右手を地面についた。
それに合わせてリリも結界を張る為に両手を地面に付け、パステル共も緊急事態に備えて白を中心にバラけて陣取る。
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