ボーイミーツギルド

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「あっ?お前らいたのか?」 「気づかなかった」 「零、聞かれてたみたいだけどいいの?」 「そうですね。困りました」 男達のこと忘れてたよ。 めんどくせぇ。 そしてその男達の中から一人のハゲが前に出てきた。 ハゲは大柄で身長は2mを裕で越え、肩幅は俺の1.5倍はある。 「おい坊主、なんかよくわからんことを喋っちゃってたが、あまり調子に乗るなよ?」 「青臭い餓鬼がでかい顔してると怪我すんぜぃ」 そして後ろからスネ夫みたいなキャラのくせに世紀末みたいなモヒカンをした野郎が顔を出す。 「あぁ?なんだハゲ。酒くせえから顔近付けんなや。直ぐに消してやっから(記憶を)騒ぐな」 あんまり臭いから素が出てしまった。 「言っちゃってくれるじゃねぇか。マスターとやる前に俺とやろうぜ。今ここでな!!」 ハゲが斧を手にすると周りの男共も手に手に武器を振り上げて迫ってくる。 「零危ない!!」 「ナメんな」 俺はルミアを手で制し男達に右手を向ける。 そして、握る。 次の瞬間には男達は白目を向き崩れ落ちた。 「な…何を?」 「めんどくさかったのでこの場での記憶を消させて頂きました」 「そんなことができるのか」 「零さん、今恐かったです」 少しルミアが驚いていた。 「あぁ、すいません。つい素が出てしまいました」 「今のが素?」 そんな俺にリンさんが言う。 「本当は敬語とかってそんな得意じゃないんですよね」 「それにしては自然ですね」 「練習しましたからね。世の中渡っていくのにこれくらいできないと直ぐに潰されますから」 「潰される!?」 「はい。本部の幹部が動けば一人の人間を世間から抹消するくらい簡単なことですよ」 あの頃は危ないことばかりしてたな。 当時中一の俺があの世界で生きていけたのも、肉体強化のチカラ以外にも幹部の人に気に入られたのが大きかっただろう。 その幹部のおかげで俺には白い明日が待っていたわけだ。 「零さん、今は前の世界とは違うんですよ?私達の前だけでも素でいて下さい」 「そうよ、私もお姉ちゃんもそういうのは気にしないから」 「そうですか?それならお言葉に甘えて、つってもそんな変わんねぇけどな」 この短時間に少しずつだが懐柔されつつある状況に、戸惑いを覚えつつも嫌でもない自分がいることに感慨深くなる。
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