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准「えっ!?でも……」
維織「いいから」
准「わかりました」
維織「じゃあね」
そう言うと彼女は店を後にした。
准「ありがとうございました、お気を付けてお帰りくださいませ、お嬢様(はぁと)」
九条(よし、いくぞ!
男らしく謝るぞ!)
准「ねえ?」
准の声は九条には聞こえていないようだ。
九条(皿洗いでもごみ拾いでもなんでもしますからと言うんだ!なんなら…)
准「ねえってば!!!!」
九条「えっ?」
准「お金ないんでしょ?
もう帰っていいよ」
九条「え?どういうこと?」
謝るつもりだった九条は、何が何だか分からないというような顔をしていた。
准「だから帰ってもいいよって。
お金もらったから」
九条「誰に?」
准「維織さんに」
九条「維織さんって…さっきの人?
なんで?」
准「知らないわよ。
今度会ったら、ちゃんとお礼言っておきなさいよ?」
九条「あ、ああ…
最終的には、腹から食ったものを出さないといけないかなと思ってたから助かったよ…」
准「そんなものいらないわよ!!!」
九条「そ、そうか…
じゃ、じゃあ…」
九条はそそくさと店を後にした。
准「………………
次、来たらどうしてやろうかしら?」
准は黒い笑みを浮かべながら仕事に戻っていった。
九条「危なかったな…
しかし、あの女の人は誰なんだ…?
なんで俺に…?
次会ったら、お礼を言わないとな………」
九条は寝床である橋の下に戻っていった。
そこには九条が廃材で建てた小さな小屋がある。
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