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一通りの説明をした後、まどかとさやかは帰路についた。
上条が送ると言ったのだが、そうすると結局マミが一人になってしまうということで遠慮したのだ。
「上条さん……不思議な人だったねぇ」
まどかがぽつりと漏らす。さやかも深く、何度も頷く。
「あたしは名前にもびっくりだけどね。上条、ねぇ……」
さやかは何を思ったか空を仰いでしばらくボーっと歩く。
「まどか、あたし達……これからどうなるのかな。まだ魔法少女にはなってないわけだけど、使い魔とやらには狙われちゃってるんだもんね」
「うーん……どうしても叶えたい強い願い事……私はどうもピンとこないんだよね」
願いを叶える代わりに魔法少女に。
つまり魔法少女になるにはどうしても叶えたい願いがなければならないということだ。
あの後、キュゥべぇが「願い事の強さと魔法少女としての力は少なからず比例する」と言っていたのだ。
適当な願いでは魔法少女としての力もか細いものになってしまうのではないか、そうなればあの使い魔や魔女にやられてしまう。
やられたらどうなるか想像もつかないが、きっと酷い目にあってしまうことだろう。
中途半端な願い事は叶えることすらかなわないのだ。
「まどかなら、どんな願い事を叶えたい?」
「うーん……さやかちゃんは?」
「…………」
「「……うーん」」
2人揃って考え込んでしまうのも無理はなく、本来願い事というのは一瞬で叶ってしまうものではない。
だからこそ、それが叶ってしまうときに何を叶えたいかといきなり聞かれても、肝心な願い事が思い浮かばないのだ。
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