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もう片方の少女を睨みつける上条。少女はというと同じく上条を睨みつけている。
「あなたは一体何者? インキュベーターの差し金?」
「インキュベーター? 何のことだよ。それよりてめぇこそ何者だ、いきなりあの子を襲おうとしやがって……」
それを聞くと少女はその長い髪を手で払い、ため息を漏らす。
「勘違いさせてしまったようね。私はあの動物に用があったの。アレを彼女に会わせるわけにはいかなかったのだけど……」
そう言うと少女はきびすを返して歩き出す。上条は一度少女たちの逃げていった方を見てから、再び少女に声をかける。
「待ってくれ、あの小動物……一体何なんだ? 教えてくれないか、力になれるかもしれない」
上条の言葉に少女は逡巡したが、一度だけ振り向き、
「いきなり現れたあなたに教えることはないわ」
「あ、おい……」
そう言ったとき、すでに少女はいなかった。
首を傾げる上条だったが、ひとまず逃げた少女たちを追いかけることにした。
しばらく禁止区域を走り回り(迷い)、ようやく抜けることができた上条が見つけたのは、さらに1人増えた少女たちだった。
「あっ、さっきの……」
「まどかが言ってた助けてくれたっていう?」
うん、と頷き小動物を抱えた少女は上条の前に立つ。
「あ、ありがとうございました」
「いや、いいよ。気にしないでくれ。えっと……」
「あ……私、鹿目まどかっていいます」
「あぁ、俺は上条当麻だ」
互いに自己紹介を済ませると、青い髪の少女が反応を示した。
「かみ、じょう?」
「ん? そうだけど」
あー……、と頭をかく少女だが、上条は何が何だかわからない。
「いや、何でもないよ。知り合いに同じ名字がいてさ……私は美樹さやか。うちのまどかを助けてくれてありがとね」
そう言い、さやかは上条に手を差し出し、上条もそれに応じた。
そしてもう1人の少女とも向かい合う。相手はさやかと同じく手を差し出して自己紹介をし始めた。
「私は巴マミ。この子たちの通う中学校の3年生よ」
「その口振りだと……2人は後輩なのか?」
握手に応じながら尋ねると、まどかとさやかが頷く。話を聞くと、どうやら2人が逃げていたときに偶然マミが通りがかったようで、始めから顔見知りというわけではなかったらしい。
(禁止区域なのに人がいすぎじゃないか……?)
上条はそう思い、首を傾げた。
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