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「それじゃ……あなた達に説明しなきゃいけないわね。魔法少女について」
マミはまどか達にそう告げる。上条が見ていない間に、彼女は一戦していたのだ。
上条についても、別世界からやってきた彼ならば魔法についても知ってもらうべきであろう、という結論に至った。
一同はマミの自宅、マンションの一室に訪れてた。
「わぁっ……きれいなお部屋ですね……!」
「一人暮らしだから余計なものがないだけよ。さ、そこに座って?」
感嘆の声を上げるまどかにマミはそう答え、三人を部屋中央の座布団まで案内する。
「まどかの部屋はぬいぐるみでいっぱいだもんね。マミさんのを見習わなくっちゃ」
「さやかちゃん、やめてよー」
にしししっ、と笑うさやかに慌てるまどか。それを見てマミが微笑む。
一体どんな不幸が存在しているのだろうか。上条は思う。
こんなに仲のよい友人同士が笑顔で語らい合っているのに、どこにへし折るべき旗があるのだろうか。
むしろ自分はここにいても邪魔なだけなのではないか? そう考えてしまう。
それほどまでに目の前で行われているやりとりは、幸せに満ち溢れていたのだ。
「はい、ケーキと紅茶よ」
いつの間にか台所に行っていたマミが戻ってくる。机の上には美味しそうなケーキと香り豊かな紅茶が人数分並べられてた。
「少し長くなるかもしれないから……ケーキでも食べながら、ね?」
そう言ってウィンクをするマミを見て、パァ、と一層表情を明るくするさやか。
遠慮なく、と一足早く一口ほおばり更に表情を柔らかくした。
「んー……っまいです! ……こっちの紅茶もおいしい!」
「ふふ、お気に召したみたいでよかったわ。話は始めるけど、まどかさんも上条くんも、どうぞ?」
「「いただきます!」」
二人口を揃えて答える姿に、互いに笑ってしまったのは仕方ないことだったのかもしれない。
「マミ、僕にも何かあったりしないかい?」
ふと、キュゥべぇもマミに尋ねる。するとマミは笑って、
「当然あるわよ。はい、どうぞ」
テーブルに並ぶものより一回り小さいが、それでも十分に美味しそうなケーキがキュゥべぇの前に置かれた。
「ありがとう、マミ!」
満面の笑みで言うキュゥべぇに、マミは同じく笑顔で返した。
「それじゃ、改めて。あなた達に説明するわ。魔法少女についてを……ね」
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