同じ文字なき歌

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あづまより 吹きぬる風を 身に染めて このはな咲くや 我し消ゆとも (あづまより ふきぬるかぜを みにそめて このはなさくや われしけゆとも) 意訳 私の妻の香りがする、東から吹いた風を身に染み込ませて、梅や桜は咲くというのか。この私が消えてしまっても。 -雑記- 同じ文字を一度しか使ってはならないという縛りの下で詠んだ一首。古今問わずに、こういう形の歌はいくつか残っておりますが、最近では目にする機会も減りましたね。 内容的なものを述べれば、『風(かぜ)』と『香ぜ』の掛け方が少々強引だったでしょうか。『香ぜ』の『ぜ』は助動詞『ぞ』の転……←方言でそのような表現があったとかなかったとか。 此花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ)を表現する事で、人間(我)儚さと、植物の長命さをも同時に現したつもりの一首です。『このはな』とは、『木の花』『此の花』と書き、桜や梅を指す言葉です。
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