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ボクのお母さんの凛子さん
お母さんは服を作る仕事で偉い人になっていて、何かあると部下の人が電話してくる
長期間のお休みをもらっていても、電話がきて時々出かけなくちゃいけなくなった
「インフル? 他に人は? 厄介ね……居るわけ無いでしょ! だから休んでるのに! う~ん……掛け直すわ、ちょっと待って!」
テレビを見てたけど深刻な顔で電話のボタンを押すお母さんが気になった
「もしもし? 知恵実さん? カズ見ててもらえないかな? ちょっと仕事でトラブルがあって……ありがとう! 助かるわ~、それじゃ後で連れて行くわね」
電話を切り、またボタンを押した
「もしもし、ちょっとだけ時間出来たわ! 3時までに行くから! ……分かった布は来てるのね? また後で、和樹! 聖君の家に行くわよ!」
「わ~い! やった!」
幼稚園から帰ると、たまに公園でひ~さんと遊ぶけど
ひ~さんの家に行くのは初めてだ
「お母さん支度するからちょっと待っててね!」
慌ただしく支度を始めるけど、お母さんの支度は長い
まちきれない! ひとりでいこう!
待っててと言われた事も忘れて、靴を履き
背伸びをしてドアノブを回した
怖がっていた外だけども、ひ~さんと遊べる楽しさに警戒心は消えた
走ってひ~さんの家に向かう、距離なんて30秒
だったのに
「こんにちは」
男の人が近づいて来た
「可愛い~ね、お名前は? お兄さんお菓子持ってるんだ、食べない?」
男の人は鞄からクッキーの袋を出し、1枚くれる
食べるのは大好きだったから、迷いながら受け取った
クッキーを取ったら、男の人はクッキーを持ったボクの右腕を掴む
「ケーキも買ってあげる、さあ行こう」
強く腕を引かれ、クッキーを落とす
「やー! ひ~さんとあそぶのー!」
「可愛いな、大丈夫。もっと楽しい事しようね」
気持ち悪いと思った
嫌いな蜘蛛と同じくらい気持ち悪い男の人
その時、ひ~さん家の玄関が開く
「カズ!」
「ひ~さん! はなして! ひ~さん!」
泣き叫び必死でひ~さんの方に行こうと暴れると
男の人の力が強くなる
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