外の世界

2/7
前へ
/45ページ
次へ
小学生にもなると、1人で外に出る事も出来る様になった 全てはひ~さんの影響 でも小学2年の頃 忘れかけた恐怖は再びやって来た その日はひ~さんが風邪で休み、オレはいつもの近道を通りながら帰る途中だった この近道は理髪店や駄菓子屋が有り、人通りや車通りは少ないが 何も危険は無い様に見えた 普通に歩いて居ると突然声を掛けられる 「こんにちは」 「こんにちは……」 反射的に挨拶を返したのは、挨拶強化週間の賜物だ 道行く人にも挨拶しようと小学校で教えられたのは昨日の事 声を掛けて来たのは車に乗ったお兄さん 助手席に乗り手招きをするお兄さんに、手が届かない距離まで近寄ってしまった 昔の事をすっかり忘れて…… 「1年?」 「違うよ!」 「お父さんとお風呂入ってる?」 「えっ?」 話の流がおかしいが、もうちょい近づけと言わんばかりに手招きするお兄さん 警戒しながら近づくと、車の中のお兄さん下半身が見えた 背が小さいオレは近づくまで見えなかったんだ 「お父さんとどっちが大きい?」 何が? 無言で後退り逃げたのは覚えてる ただパニックで車が見えなくなりようやく落ち着いた 自分は何を聞かれたの? てかあの人何!? どう走ったのか思い出せないけど、家の近くまで来ていて この事は誰にも言えなかった ひ~さんが風邪から復活するまで、あの近道は使えない その事だけ考えていた その後、ひ~さんと歩きながら近道を見ていると お店や一般の家に【怖い人がいたら駆け込んで来なさい】と書いて合った 有名だったのか、他にも居るのか 人通りの無い道はどんなに近道でも怖いのだと、この時知った 「カズどうした?」 「なんでもないょ……」 自分が被害に合ったと考えたく無くて、何も言えずにいたが 他にも被害が出たのか、小学校から集団下校強化期間が発令され オレもその近道は1人で絶対行かなくなったが お兄さんの車が止まっている事は2度と無かった そして……恐怖から心を守る為なのか、また記憶は薄れて行く 少なくても、小学校で恐怖が甦る事は無かった
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加