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小学生にもなると、1人で外に出る事も出来る様になった
全てはひ~さんの影響
でも小学2年の頃
忘れかけた恐怖は再びやって来た
その日はひ~さんが風邪で休み、オレはいつもの近道を通りながら帰る途中だった
この近道は理髪店や駄菓子屋が有り、人通りや車通りは少ないが
何も危険は無い様に見えた
普通に歩いて居ると突然声を掛けられる
「こんにちは」
「こんにちは……」
反射的に挨拶を返したのは、挨拶強化週間の賜物だ
道行く人にも挨拶しようと小学校で教えられたのは昨日の事
声を掛けて来たのは車に乗ったお兄さん
助手席に乗り手招きをするお兄さんに、手が届かない距離まで近寄ってしまった
昔の事をすっかり忘れて……
「1年?」
「違うよ!」
「お父さんとお風呂入ってる?」
「えっ?」
話の流がおかしいが、もうちょい近づけと言わんばかりに手招きするお兄さん
警戒しながら近づくと、車の中のお兄さん下半身が見えた
背が小さいオレは近づくまで見えなかったんだ
「お父さんとどっちが大きい?」
何が?
無言で後退り逃げたのは覚えてる
ただパニックで車が見えなくなりようやく落ち着いた
自分は何を聞かれたの?
てかあの人何!?
どう走ったのか思い出せないけど、家の近くまで来ていて
この事は誰にも言えなかった
ひ~さんが風邪から復活するまで、あの近道は使えない
その事だけ考えていた
その後、ひ~さんと歩きながら近道を見ていると
お店や一般の家に【怖い人がいたら駆け込んで来なさい】と書いて合った
有名だったのか、他にも居るのか
人通りの無い道はどんなに近道でも怖いのだと、この時知った
「カズどうした?」
「なんでもないょ……」
自分が被害に合ったと考えたく無くて、何も言えずにいたが
他にも被害が出たのか、小学校から集団下校強化期間が発令され
オレもその近道は1人で絶対行かなくなったが
お兄さんの車が止まっている事は2度と無かった
そして……恐怖から心を守る為なのか、また記憶は薄れて行く
少なくても、小学校で恐怖が甦る事は無かった
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