ファーストコンタクト

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将来の為になかなか産休を取らず頑張っていたお母さんも 3才になっても変わらないボクに不安になり、長期休暇を決断 ボクは幼稚園に入る事が決まった 「和樹、〇〇レンジャー始まるわよー」 「みるー」 家の中では他の子とは変わらない、ダメなのは1歩でも玄関を出た外の世界 悲しそうにお母さんはボクを見つめている事に、夢中でテレビを見ているボクは気づかない テレビが終わると、お母さんはボクを抱こして聞いてきた 「ねぇ和樹、お父さん欲しい? 欲しいならお母さん頑張るわよ?」 「おとうさん?」 お母さんが見てるドラマに映る家族は、お父さんと言う男の人がいる 他人が怖いボクが欲しいはずが無かった 「いや! いらない! いやー!」 「分かった、もう言わないから泣かないで」 火がついた様に泣き出すボクを抱きしめ、お母さんも泣きそうな声で慰める 「和樹……ごめんね」 「うぅっ、ひっく! おかあさっ!」 「ごめんねぇ」 その日は泣き疲れ眠るまで、ボクはお母さんに抱かれていた 初めての幼稚園 そこでもボクは動かなかった 「和樹君、お歌を歌いましょ?」 「困ったわね……」 何があっても丸まったままのボク、他の子達もちょっかいを掛けてくる 「ねぇあそぼうよ」 「なんだよ! だんごむしか?」 「だんごむし~」 つついたり引っ張ったりされても動かないボクに、とうとう1人の男の子怒った 「なんかいえ!」 力いっぱい引っ張られ床に散らばる積み木の上に倒れる さすがに痛くて涙が出てきた 「うっ、ひくっ、うえぇ~」 「おまえがわるいんだ!」 さらに叩こうとしてくる子が怖くて、必死に丸まり防御する 「ケンカしちゃダメでしょ!」 幼稚園の先生達の声と走ってくる音、男の子は止まらない 先生が来る前に叩かれると思っていたが、その男の子はボクを叩けなかった 「わるいのおまえだ!」 聞き覚えのある声にドンという音 目を開けると、ボクを叩こうとした男の子は尻餅をついて ボクの近くにいる男の子を呆然と見てから泣き出した 涙は連鎖してみんなが泣き先生達は慌てる
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