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中学になると、低めだった身長は伸び出し
女の子に見られる事は少なくなった代わりに、女の子や女性に逆ナンされる事が増え
愛想良くして無難に乗り切る処世術を身に付けて行く
処世術を身に付けてから、ひ~さんに助けられる事も減り
何人かの男子とも上手く話せる様になって行った
しかし、この時のオレはまだ自分の女子への影響力を把握して居なくて
名前を知ってる女子は名前でちゃん付け、小学校からのままだった危険性に最初に気づいたのはひ~さんだった
「カズ、名字にさん付けした方が良いぞ」
「え~、何で~?」
「なんか、カズに好かれてると勘違いする子が現れそうでさ。ただモテるだけなら良いんだけど……」
「ん~、大丈夫だって! 今まで大丈夫だったし!」
ひ~さんはオレの魅力にドキッとしたりしない貴重な存在だから
ひ~さん自身がオレの魅力が変わったと気づいた訳じゃ無い
幼稚園の時から周りの様子には敏感なひ~さんは、気配りの出来る男
具合の悪いクラスメイトを見た瞬間気づくひ~さんは、周りの女子が過熱してる事に女子逹より早く気づいた
オレへの熱狂的過ぎる女子逹の事を……
「あれ? また無くなった? ひ~さん! オレのボールペン知らない?」
「無いのか?」
「黒い奴! おニューなのに~」
「でもトイレ行く前に筆箱に戻してたよな」
「そうだけど、ほら」
ひ~さんに中を見せると、1つだけ目立つ黒い色のボールペンが無かった
残るはファンシーなボールペンのみ
「乙女チック……」
「引かないでよ! 良いじゃん可愛いのも格好良いのも好きなんだから!」
格好良いボールペンやシャープペンばかりが無くなった事件から2日後
何故か女子の集団に呼び出され、本能的に恐怖を感じたオレはひ~さんに話そうとした
「ねぇひ~さん! きょ……」
「和樹君! ちょっと来て」
トゲトゲしい雰囲気でクラスの女子リーダーが手招き
彼女もオレを呼び出した集団の1人だった
先に行って来いとひ~さんに目で合図され、近寄ると
「氷崎に話さないで、分かった?」
「うっうん……」
迫力に頷いたけど、離れてひ~さんの元に向かう
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