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話が見えない中で、女子の1人がオレに詰め寄った
「和樹君! 答えて!」
「その前に何でそんな話しになったの?」
「だって私の事ちゃん付けで……」
気の強そうな子は、頬を染めながら話す
「私の事もそうよ!」
「私だって!」
大人しい感じだった子も、優等生タイプの子もそう言った
全員他の男子からさん付けで呼ばれるタイプ、どうやら彼女達が火付け役となり
他の女子に自分は特別なんだ的な態度を出して、はっきりさせる為に集まったらしい
ここに居る全員に関して意識した事無いんだけどな~
なんて本音言ったら殺されそう!
「教えて! そしたら帰してあげる」
長期戦!?
この場を取り繕う策も浮かばず、殺気に満ちた女子逹にビビるばかり
目を閉じて、覚悟を決めた
ひ~さん、さよなら
骨を拾ってね
息を吸って本心を語ろうとした瞬間、カチャカチャと鍵がなり
振り返ると磨りガラスに人影
入って来たのはひ~さんだった
「カズ無事?」
「ひ~さん!」
「どうして氷崎がここに来るの!?」
「クラス委員長だし」
「じゃ無くて!」
殺気立つ女子に怯えるオレに対し、平然としてるひ~さん
「告白なら1対1でやれよな、カズ怯えてんじゃん」
「関係無いでしょ! 引っ込んでてよ!」
「言っとくけど、カズの名前でちゃん付けは他意ないから。誰にでもそうだし、なぁカズ」
「うん」
「そんなっ!」
ショックを受ける女子逹にひ~さんは畳み掛ける
「これからカズには名字でさん付けさせるから、俺達のクラスの3人以外分かったら帰って」
不思議と逆らえない抜き身の刀みたいなひ~さんの態度
現代の侍を見た!
他の女子逹もそれを感じたのか、急激に熱が下がり帰る
同じクラスの女子だけが残り、なんとなくオレ達から目を反らす3人
「カズのボールペンやらシャープペン返せよ、分かってるだろ?」
「盗ったの!? 何でオレの?!」
「カズのだから欲しかったんだろ、でもそんなの間違ってる! 相手に嫌な気持ちをさせるだけだ! カズに謝って返せば先生には言わない」
ひ~さんの有無を言わせない力強い言葉
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