ファーストコンタクト

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園児達が泣く中、助けてくれた男の子だけが泣かなかった いつも公園に行くと、必ず居る男の子 その子は痛い積み木の上からボクを起こして、頭を撫でる 「だいじょうぶ? いたいところどこ?」 優しく心配してくるその子は、今までボクに近寄ってきた大人とも 他の子供達とも何かが違う 不思議に思い、痛かったけど涙が止まる 「なみだとまったな!」 泣き止むと、男の子は撫でるのを止めニコッと笑う 本当に不思議だった 保育園でも良くある事で今まで誰も助けてくれず 先生が止めさせるまで叩かれるのが普通なのに? いつもならすぐに丸まるけど、男の子の事をいつまでも見ていて この後でボクが丸まる事は無かった 幼稚園が終わり、お母さん達が迎えにくる 「和樹!」 「おかあさん!」 ボクも含めて、子供達は一斉に今日あった事をたどたどしく話ていく それは保育園でも見れる光景だけど、ボクが話したのはこの日が初めてで 「おかあさん! あのね、あのね!」 「どうしたの?」 驚きながらも嬉しそうに聞いてくれた でも話を聞いていた1人のお母さんが怒りだした ボクを積み木の上に引っ張り、叩こうとした子のお母さん 「ちょっと! どう言う事です! 家の子を突き飛ばすなんて! お宅はどんな教育をしてるんですか!」 唾を飛ばして助けてくれた子のお母さんに詰め寄る姿に ボクは怯えてお母さんに抱きつき、他の子達も怯える 「家の子は正義感が強いんです! 私も聞きましたが、悪いのは他の子に乱暴したお宅の息子さんでしょ」 「なんですって! 嘘言って責任転嫁するつもり!」 「お2人とも落ち着い……」 「先生は黙ってて!」 「そうよ! 黙って!」 この場を収め様と割り込む先生を迫力で黙らせ口論は続く 叩こうとした男の子も怯えていたが、助けてくれた子は違った 「おれはうそいってないっ! はなしきけー!」 男の子の大絶叫に口論してた母親達も驚き黙った 「せんせい! せんせいもちゃんといえよ!」 「えっ、あぁ! お2人とも此方へ、ご説明します!」 大人達を仕切る姿は、レッドみたいだ
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