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「どうした?」
何も言わないオレに近づいて来たひ~さん、抑えていた涙が溢れて
ひ~さんに抱きついた
「何かあったか?」
オレが本気で苦しんでる時は、ひ~さんは引き剥がしたりしない
頭を撫でてくれたり、優しく背中を叩く
赤ん坊があやされてるみたいだ……でも気持ち良い
オレがひ~さんに抱いてるのは友情だけど、同時に父親を求めていた
何でも出来るヒーローで、優しく包み込む包容力
同い年のはずなのに、依存されても突き放さない度量
ただ依存されてるだけじゃなく、オレの世界を広げ変えてくれた
ひ~さんはそんなつもりは無い
だから素直に甘えられた
「何だ2人とも、アッチの世界に羽ばたいたか? 聖も2股とはやるな」
「親父! 気色悪い事言うな!」
流おじさんが冷やかす頃には、オレの心も浮上完了
「オレ、2号さんでも構わないわ!」
「アホか」
抱きついたままボケたオレの頭にすかさず平手打ち
パシーンッと良い音が鳴るが、音ほど痛くない
「痛い! オレがお馬鹿になったのひ~さんのせいだ! 責任とって!」
「はいはい」
「スルーは嫌よ!」
頭を擦り、痛い振りでボケるが
オレが元に戻ったと知ったひ~さんは、オレを放って居間に帰ってしまった
靴を脱ぎ散らかし、ひ~さんの後を追いかける
この関係も、高校を卒業したら否応なしに変わるしかない
オレ逹は似てないから、別々の道を進むのは最初決まってた
ひ~さんはマイペースに自分の道を突き進む、オレがついて行けるのは今だけ
離れたくない!
ピーターパンシンドロームってこうゆうのかな?
子供のままならひ~さんと離れ無くて済むのに……いや無理だね
ひ~さんは大人になって、オレを置いて行ってしまうだけだ
居間に居た智佳ちゃんとバトルして、大人気なく勝ち
ひ~さんの部屋に行く途中、知恵実さんからチョコ菓子をもらい
ひ~さんとまたホラー映画を見始めた
「カズ」
「なに?」
「言いたく無いなら言わなくて良いけど、さっき何があった?」
不意討ちに言われた言葉と、停止されたDVD
「DVDより気になるんだよ」
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