ファーストコンタクト

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「すげー! つよい! かっこいい!」 テレビで戦隊物を見てる時に言ってる言葉が全部出てくる 助けてくれた男の子は、先生と自分のお母さんについて行った 「氷崎さんの所の聖君ってしっかりしてるわ~」 「ひじゅりくん?」 「違うわよ、ひ・じ・りって名前の子なの」 「ひじゃっ! うぅ~ひたいた~」 「あらあら、舌を噛んだのね」 あまりしゃべらなかった弊害で、他の子より舌が回らない 家に帰る途中で復活したボクは、いつもと違い車の中でも ずっと聖君の話をしたり、お母さんから聞いたりし続けた そして気がついた事実 聖君はボクを意識してない 他の子は全員ボクを見ると近づいて触るか、ずっと見ているかのどちらか だけど聖君はマイペースで遊んでて、公園でも幼稚園でもボクに注目しなかった それがふしぎだったんだ! なんだか嬉しくて、胸が暖かい 車庫に車を入れてから降りると、お母さんは近くの家を指差した 「聖君の家はここなのよ」 とても近くて凄く驚いた、家の窓からも見える距離 幼稚園初日の大興奮の1日に、体力の無いボクを疲れ果て その日はすぐに寝てしまった 翌日はお母さんの手を引いて自分の足で玄関を出て、お母さんを凄く驚かせ 同時に喜ばせた 涙ぐむほど喜ぶお母さんに、ボクが心配になる 「おかあさんどっかいたい?」 「痛くない! じゃ、幼稚園行こう」 「うん!」 優しい満面の笑顔に安心して、掴めないぐらい大きいお母さん手 仕方ないので人差し指を握り 車まで引っ張った 初日は抱っこされたまま入った幼稚園 自分から中に入り靴を脱ぐ 「お早うございます、お願いします」 「お早うございます、それじゃ和樹君……ってあれ?」 頭を下げ合う大人達を無視して、ボクは走り出す サクラ組の部屋に入ると、ボクを叩こうとした男の子が近づいてきた この子も同じ組だったのをすっかり忘れてたと、思い出して部屋の入り口で動きを止めると 「ごめんなさい!」 「えっ?」 予想外の言葉に余計動けなくなってしまった 「ごめんなさい……」 泣きそうな声?
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