ファーストコンタクト

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恐る恐る男の子の顔を覗き込むと、涙目になっている 謝られたのは初めてで、どう言えば良いか分からない 戸惑って固まっていると部屋に聖君がきた 「どうしたの?」 入り口をふさぐボク達を見比べ不思議そうに首を傾げる 「わるいことしたから、あやまってるの!」 「かずきくんなにもいわないの」 周りの子がそっと聖君に言うと、聖君はボクに聞いてきた 「あやまったならゆるしてあげなよ」 「ゆるす?」 「うん! ゆるすっていえばいいんだよ」 お母さんにイタズラして許してもらった事はあるけど、自分がするのは初めて 目の前の男の子が怖くて、震えながらだけど 頑張って口を開く 「ゆるす」 「ありがとう!」 まだ涙目だけど笑った男の子は、もう怖く感じなかった 不思議で仕方なかった、聖君はとても凄いと思う どうすれば、ともだちになれるのかな? それしか考えられないけど、丸まらないだけで言葉に出来ない みんなが遊ぶ中、滑り台で遊ぶ聖君に近寄ってみた 「なに?」 笑ってボクに聞いた聖君、何を言いたいのかなんて自分も分からない 「ひじゃっ、ひじゅっ!」 「ひざ?」 聖君は両手を膝に当て首を傾げ、ボクは首を横に振った 右肘をつきだし左手を当てる 「ひじ?」 「ちがうっ!」 お母さんみたいに聖君って呼びたかった でも上手く言えなくて焦っていると、何故かお母さんが他の人に〇〇さんって言うのが頭に浮かんだ 「ひ~さん!」 「ひ~さん? おれのこと?」 変だけど意味は通じてしまった 頷いてからうつ向いて、顔を上げられなくなる 「ん~、じゃあおれはカズってよぶな!」 驚いて顔を上げると、手を差し出される 「いっしょにあそぼ!」 「うん!」 とっても嬉しくて、差し出された手を握る お母さん以外の人に自分から触った、初めての日 この日からボク達は友達になり、ボクはひ~さんについて回った なんでもっと早く友達にならなかったんだと、後悔するほど ひ~さんと一緒で毎日が楽しくなり、顔が痛くなるくらい笑いっぱなしになった
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