その町、魔物の巣につき。

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「じゃ、死んで下さいよ」  弟子は師匠を足袋の裏で蹴り、師匠はその勢いで狼達に奇声をあげながらダイブした。  ダイブしながら狼に突っ込み、恐怖と頭を打った痛みで気絶した師匠を拾い上げる弟子。  そしてそのまま、下に乱暴に落とす。ちょうどそこにあった瓦礫が、師匠の腹に直撃した。 【何をやって……仲間ではないのか!?】  狼の一匹が弟子に問いかける。言語を話す魔物も珍しくはない。低い、唸るような声だ。 「仲間? ふざけないでくださいよ、これは師匠です」  師匠なら余計にぞんざいに扱ってはいけないのでは、と狼達は思ったが、弟子は弟子でいつもの無表情を貫いている。
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